※2024年3月18日15時13分更新
SPエンジェルのパートナーで鉱業アナリストのジョン・マイヤー氏はIGTVのインタビューで、「銅価格は今週、9,000ドルを上回る水準で推移すると予想している」と語った。
銅の需要動向に変化
インタビューで、英SPエンジェルのパートナーで鉱業アナリストのジョン・マイヤー氏は、コモディティ市場、特に銅のような金属市場の最新動向について語った。中国の製錬業者はペルーやパナマ、チリから十分な銅をなかなか調達できず、銅価格の下落を招いている。しかし中国の電気自動車（EV）メーカー大手BYDの最近の動向からは、EVに対する需要は増加しており、銅の需要は再び拡大傾向にあるという。
中国産のEVは欧州や米国だけでなく世界じゅうで売られ、予想外の国々にさえも販売されていることにも触れた。中国やブラジル、インドネシアといった発展途上国の経済が成長していることも銅の需要拡大を促しているという。この需要拡大は銅価格だけでなく、ニッケルや炭酸リチウムの価格をも押し上げている。このところ低迷していたレアアース価格でさえ、先週は反発した。
今週の銅価格は9,000ドルを上回る水準を維持
現在、市場では銅の需要増に対する期待が高まっているため、今週は9,000ドルを上回る水準を維持すると見ている。テクニカル分析の観点からは、銅価格が上昇し続けるには一定の水準を上回るレベルにとどまる必要があるが、今のところ大きく下げる要因は見当たらない。
銅の需要が本格的に回復するきっかけは何かという質問に対して、マイヤー氏はインフレの動向を挙げた。最新の米インフレ率は比較的高い水準にとどまったことが確認された。インフレが予想よりも高い水準にとどまれば、米連邦準備制度理事会（FRB）の金利引き下げ時期が期待よりも後ろ倒しになり、ドルの価値が下がるのも遅れる。そうなれば、銅価格にとっては良い話ではない。世界の中央銀行は方向性として利下げに傾いているが、FRBに追随する傾向があるため、まずはFRＢがいつ、どの程度のスピードと利下げ幅で金利を引き下げそうなのかを見極めることが大切だと述べた。
銅価格 日足チャート
資料：IGTV
鉄鉱石・金価格見通し
鉄鉱石については、今のところ明るい材料はなく、価格が下落傾向にあるのも頷ける。鉄鉱石の需要はまだ弱い。しかし、民間の中国不動産開発業者の債務不履行で暗礁に乗り上げた大量の住宅建設は政府の支援により建設が完了しようとしている。中国の土地価格は引き続き下落基調にあり、こうした住宅を購入する意欲を高めているのは良いシグナルである。また、これらの住宅は中国の一人っ子政策時に計画されたもので、中国政府は複数の子を持つ世帯向けにより広い住宅の建設を支援する計画のようだ。中国政府が債務を大きく増やさずにどう住宅建設支援の舵取りをするのかを見極めたい。
金価格が上昇しているのは、人々がどこに投資をしてよいのかわからないからだという。金利が下がれば、通貨の価値が不安定になるため、資金の安全な投資先として金が買われる。中央銀行も、どの通貨に投資するのが一番いいのかがわからないため金を買っていると見ている。金価格は2,200ドルに簡単に到達すると考えている。
金利の低下と欧州景気の回復が期待されていることを鑑みると、マイヤー氏は今年下半期には世界的に経済が成長する可能性があり、先行きについては楽観視している。
鉄鉱石価格 日足チャート
資料：IGTV
金価格 日足チャート
資料：IGTV
