ATRインジケーターの使い方|ボラティリティの活用方法
この記事では、ATRインジケーターをボラティリティの測定に役立つという点に着目して見ていく。
アベレージ・トゥルー・レンジ(真の値幅の平均)は、前回みてきたように、チャートの下部に適用することができるインジケーターである。トレーダーが設定するのは、評価対象となる期間数の入力だけだ。ATRの一般的な入力は14期間だが、トレーダーはこれを変更して、相場環境をより長期的または短期的に見ることができる。
以前紹介したように、ATRは評価対象の資産の価格形式で表示される。つまり、EUR/USDで.0048と表示されたのであれば、その期間中のATRの値は48pipsであることを示している。マーケットが突然非常に不安定になると、この値は大きくなり、.0080と表示された場合、ATRは80pipsを示しているということだ。
ATRに示されるボラティリティの拡大は、トレーダーがどの戦略を実行するか、どのシグナルにしたがうか、あるいはおそらく、トレーダーが戦略上望むよりもボラティリティが高いか低いかを想定し、そのマーケットを完全に回避するシグナルとしても使用できる。ボラティリティのサブモジュールで説明したように、ボラティリティの予想はトレーダーの戦略選択において大きな役割を果たすことがあり、ATRはこの非常に重要なデータポイントをフォローするトレーダーにとって便利な方法だ。
以下のEUR/USDの日足チャートでは、ATRによってボラティリティの上昇の影響が強調されている。
チャート左側の2018年では、ATRが105pipsと計測されており、指定した期間の過去14日間のATRが105pipsであったことになる。2018年から2019年にかけて、EUR/USDが下降トレンドで推移する中、そのボラティリティは低下し、2019年末には40pips程度で底を打った。
しかし、2020年初頭の相場にコロナが織り込まれてくると、ATRが跳ね上がり、最終的に3月下旬には160pipsを超えるようになった。
これは、ボラティリティがインジケーターに組み込まれていることを明確に反映している。ATRを利用して損切り/利食い注文を設定しているトレーダーにとっては、相場のダイナミクスを取り入れることができるようになる。.
トレード戦略とリスク管理
ボラティリティ
推薦者: James Stanley
ATRを適用したEUR/USDの日足チャート
EUR/USDの日足チャート(2018〜2020年9月) ジェームズ・スタンリー作成
ATRインジケーターを使う際は、値動きの方向性には依存しないことに注意
上記の例で指摘しておくべき重要なことは、ATRが値動きの方向性を問わないという点だ。コロナが織り込まれた際の状況は、EUR/USDの価格が反転してもATRの値が上がり続けたことをよく表している。このように、この期間を振り返ると、相場全体のボラティリティが明らかになる。
以下のチャートでは、ATRが2020年3月27日にピークを迎えていることがわかるが、これは2月下旬から3月上旬にかけて相場の動きが激しく乱れた後、この通貨ペアの値動きのボリュームが落ち着き始めた頃とちょうど重なるのである。
EUR/USDの日足チャート
EUR/USDの日足チャート(2019年11月〜2020年6月) ジェームズ・スタンリー作成
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ジェームズ・スタンリー著
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