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FXのATRとは?意味や計算式、リスク管理における便利な使い方をプロが解説!

FXのATRとは?意味や計算式、リスク管理における便利な使い方をプロが解説!

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このページの内容

FXにおけるATRとは

ATRは相場の値動きの大きさを判断できるテクニカル指標であり、海外ではトレーダーによく使われている。同じテクニカル指標によるサインで決済せずに、他のテクニカル指標で決済をおこないたいというトレーダーにATRは使われることが多い。実践的なテクニカル指標であるATRの基本を以下で解説する。

ATRとは

ATR(Average True Range、アベレージ・トゥルー・レンジ)とは、マーケットのボラティリティ(変動率)の高低や傾向を示すテクニカル指標だ。つまり、平均的な値動きの大きさを判断する時に主に用いられる。もともとは商品先物取引向けのテクニカル指標として、RSIやADXの開発者として知られるJ・ウエルズ・ワイルダー・ジュニアが開発した。

FXのトレードでは基本的には売買シグナルの確認という利用法ではなく、ボラティリティを判断することで、トレンドの強さを把握したり利益確定や損切りの値幅を決めたりするツールとしてよく使われる。トレードをする上で、自分がトレードする通貨ペアのトレンドの強さや平均的にどれくらい動くのかを知ることは重要だ。ただし、一部のトレーダーは相場の天井と底の予測にもATRを利用している。

以下のチャートは、ATRを適用したユーロ/米ドルである。

ユーロ/米ドル 日足チャート

ユーロ/米ドルの日足チャート(2021年5月〜2022年3月) ジェームズ・スタンリー作成

上のチャートでは、ATRの強調された赤色の部分と、その後に続く緑色の部分に注目してほしい。両方とも価格は下落トレンドであるが、より緩やかな下落トレンドはATRの低下を示しており、各ローソク足の平均の値幅が過去の期間中にどのように減少しているかを単純に強調している。価格がより速く下落し始めると、緑色のボックスで表されているように、ATRが大きく上昇している。

ATRはトレンドの方向性に関係なく、モメンタムの大きさのみに着目しているため、レンジの拡大や大きな値動きもATRの数値の上昇として反映される。また、指標の左上にあるATRの数値にも注目してほしい。上のチャートで確認できなかった場合は、以下の画像で確認できるはずだ。

ジェームズ・スタンリー作成

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ATRの数値は0.00920と表示されている。単位は「pips」となり、通貨ペアと同様のレートの表示形式で表記される。つまり、ユーロ/米ドルの通貨ペアで、価格が1.1057の場合、ATRの0.00920は92 pipsとなる。

ATRが0.00418の場合、41.8 pipsとなり、ATRが0.01295の場合、129.5 pipsとなる。このように、ATRは常に通貨ペアのレートの表示形式で表記される。

FXにおけるATRの意味

ATRは通貨ペアの「平均的な値動き」を表すものだ。例えば、日足で言えば「今日はこれくらいの値動きがありそうだ」という値幅を表すのである。もちろん相場はいつも同じボラティリティであることはなく、大きな変動をするときもあれば、穏やかな変動のこともある。例えば、ドル円は1日に3円動くこともあれば、1円以下しか動かないこともある。このような相場の表情に応じて、今日の相場がどれくらい動くかを予想できるのがATRの最大の特徴だ。

ATRはその特徴を活かし、利益確定や損切りの目標を設定する際に利用されることが多いテクニカル指標だ。要するに、ボラティリティが高ければ利益確定や損切りまでの値幅を広くし、逆にボラティリティが低ければ値幅を狭くしたトレード計画を立てることができる。また、平均的な値動きを知っておくことで、思惑が外れた時にどれくらい逆行してしまうかという目安を付けることもできる。例えば、日足のATRが100pipsであれば、1日で100pips程度の逆行は十分考えられるということだ。

FXにおけるATRの計算式

ATRは移動平均線ボリンジャーバンドなどのように任意の期間を設定し、その期間のボラティリティを計測する。計算式は以下の通りだ。

ATR=TR(True Range、真の変動幅)のn期間指数平滑移動平均(EMA)

※n期間は14期間や20期間を用いるのが一般的である。例えば、14期間であれば過去14期間の平均がATRの値となる。期間の設定はトレードスタイルによって変更されることがあり、その場合は短期トレードでは短め、長期トレードでは長めにされることが多い。

TRはATRの開発者であるワイルダー独自の価格変動の測定方法である。以下の①~③のうち、最大の値幅(絶対値)のものを採用する。計算に使う数値は3つだけだ。日足を例にした場合、「前日終値」、「当日高値」、「当日安値」の3つとなる。

  1. 当日高値-当日安値
  2. 当日高値-前日終値
  3. 前日終値-当日安値

FXにおけるATRの見方は?

ATRは日々の相場の動向によって上昇や下落をすることになる。つまり、値動きが大きい時にはATRも大きくなり、逆に値動きが小さい時にはATRも小さくなるのだ。加えて、急騰や急落時には短期的に大きく上昇する。

ボラティリティが高くなると、狙える利幅は大きくなるがリスクも同じように大きくなる。逆にボラティリティが低いと、リスクは限定されるが狙える利幅も小さくなる。ATRでボラティリティを把握することで、リスク管理、根拠のある利益確定や損切り幅の設定、相場環境の理解といったことができるのだ。

また、ATRは前述した通りボラティリティを表すものであるため、売買シグナルとしては基本的に使われない。したがって、ATRはオシレーター系のテクニカル指標に分類されるものの、同じオシレーター系であるRSIやストキャスティクスのように「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」といった判断には使われないことを覚えておいてほしい。

FXのATRから読み取れること

FXではATRを使用することによって、その通貨ペアのボラティリティやトレンドといった相場環境を知ることができる。ATRを上手く使い、自分のリスク許容度やトレードスタイルに合っている相場環境であるかトレードをする前に確認するとよいだろう。

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トレンドを把握できる

ATRが上昇していればトレンドの発生、または現在のトレンドが強くなっていると考えられる。一方、下落していればトレンドの終わりや転換が起きると判断することが可能である。なぜなら、ATRの数値が上昇している時は値動きが激しくなっており、下落している時は落ち着いてきているということだからだ。また、ATRが横ばいの場合はトレンドの継続が考えられるが、数値が低い状態で安定している際はもみあい、つまりレンジ相場だと判断することが可能である。

ATRはトレンドを把握できる便利な指標であるが、高水準にある時はトレンドが過熱しており、急騰の後の急落などが起こりやすいため注意が必要である。ATRの過去の動きを見て、「どれくらいが年間の最高水準なのか」ということを知っておくとよいだろう。ATRがその水準に近づいたということは過熱しているということであり、価格の急騰や急落に気を付けることができるからだ。

ボラティリティの大きさを判断できる

前述した通り、ATRはトレンドを把握することができるが、ボラティリティの大きさや変化を判断するのがより一般的な使い方になる。というのも、利益確定や損切りの値幅の目安として非常に便利だからだ。その他にも、ボラティリティの大きさからトレードをする通貨ペアのリスクを判断することも可能である。

また、ATRは日足で利用されることが多いが、任意の時間足でもそのボラティリティを計測することができる。ATRは適用したチャートのローソク足1本分の平均ボラティリティを示すものだからである。ATRを見ることによって、価格変動がどれぐらいの大きさになっているのかをどの時間足でも視覚的に把握できるのだ。

ATRを利用したFXのトレード手法

ATRは基本的に売買シグナルとして使うことができないテクニカル指標だが、他のテクニカル指標と組み合わせることでそれが可能になる。ATRと他のテクニカル指標の組み合わせを理解し、あなたのトレードにぜひ生かしてほしい

他のテクニカル指標と組み合わせる

ATRはボラティリティやトレンドを把握できるテクニカル指標だが、具体的な売買タイミングを見極めることはできない。つまり、FXでATRを使う場合は、基本的にATRのみではなく他のテクニカル指標と組み合わせることになるのだ。

組み合わせるテクニカル指標は自分がトレンド相場とレンジ相場のどちらでトレードをすることが多いかを考えて決めるとよい。トレンド相場であれば移動平均線や一目均衡表などのトレンド系、レンジ相場であればRSIやストキャスティクスなどのオシレーター系のテクニカル指標がおすすめだ。もちろん、トレンド相場とレンジ相場でテクニカル指標を使い分けることもできる。ATRは有効なテクニカル指標だが、万能ではないことに注意してほしい。

移動平均線とATRを組み合わせる

移動平均線は非常にシンプルなテクニカル指標であり、初めにATRと組み合わせるテクニカル指標としておすすめだ。移動平均線はトレンド系のテクニカル指標であるため、ATRでトレンドを把握する際に移動平均線を組み合わせることで、精度を上げることが期待できる。

移動平均線は様々な使い方があるが、トレンドの初動を狙うという意味ではゴールデンクロスやデッドクロスを使うとよいだろう。ATRの数値が上昇している時は値動きがだんだん激しくなっていることを表しているため、トレンドの初動である可能性が考えられる。これに移動平均線のクロスも合わせて判断していくのだ。

具体的には、買いシグナルはATRが上向きに上昇しており、ゴールデンクロスをしたタイミングになる。売りシグナルはATRが上向きに上昇しており、デッドクロスをしたタイミングだ。ポイントはATRの位置ではなく上昇しているかどうかを見ていることである。ゴールデンクロスやデッドクロスはダマシが多い売買シグナルだが、ATRを組み合わせることでボラティリティの面から有効なシグナルを絞り込むことができる。

ATRを利用したリスク管理

ストップ注文の設定は、特に初心者トレーダーにとって難しい課題になる場合がある。

ストップ注文を狭く設定しすぎると、価格が実際に動いてほしい方向に動く前にトレードが決済されてしまうリスクがあり、その場合、利益を得られずに損失を出すことになる。

一方で、ストップ注文を広く設定しすぎると、想定していたよりも大きな損失を被るリスクがある。

このような不明瞭なリスクは、多くのトレーダーの判断を鈍らせ、場合によってはストップロス注文を全く出さなくなるほど、直接的な影響がある。さらに、損失をトレードによって取り戻すのは困難なため、深刻なダメージになる。口座の50%を失った場合、取り戻すためには100%の利益を得なければならない。100%の利益を生むことはどのような状況でも困難だが、口座の半分の資金を失った後では、なおさらだろう。

100%の利益を得るよりも、最初に50%のドローダウンを避ける方がより簡単なはずだ。そのためには、ストップ注文の設定とリスク管理が必要になる。そこでATRを利用すれば、ストップ注文の設定とリスク管理においてトレーダーの役に立つだろう。

FXでのストップ注文におけるATRの使い方

ATRの読み方がわかれば、この指標を利用するための準備は済んでいる。下の日足チャートでは、ユーロ/米ドルのATRが92.0 pipsと表示されている。

例えば、トレーダーがユーロ/米ドルのポジションを取る場合、これは考慮すべき要素となる。トレーダーはATRの値、またはトレード開始時の指標のレベルでストップ注文を設定することを検討できる。あるいは、より狭い/より広いストップ注文を設定したい場合は、ATRの係数を利用することも可能だ。ATRの50%、または2倍などの選択肢があり、トレーダーがどの程度積極的にリスクを管理したいかによって決められる。

トレーダーはリスク管理のルールをさらにカスタマイズすることも可能だが、ATRは客観的なフレームワークである。そのため、トレーダーは直近の値動きを他の要素に組み込むことで、目標に対するアプローチや戦略を構築できるだろう。

まとめ

ATRは海外では有名なテクニカル指標であるが、日本では聞きなれないテクニカル指標かもしれない。しかし、ボラティリティを把握することでトレードを向上させることができる有効なテクニカル指標だ。

売買シグナルは他のテクニカル指標を使うかATRと他のテクニカル指標を組み合わせる必要があるが、ATR単体でも利益確定や損切り幅を決める根拠にできる。同じ通貨ペアであってもボラティリティは常に変化するものだ。ATRを使ってボラティリティを判断し、トレードの優位性を高めてほしい。

--- DailyFX.com シニアストラテジスト ジェームズ・スタンリー著

スタンリー氏に連絡するには、Twitterで@JStanleyFXまでお願いいたします。

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