※2023年12月5日17時31分更新
インフレと賃金の伸びが低下傾向にあることから、豪中銀は5日、現行の政策金利の維持を決定した。これを受け、豪ドル相場は対米ドルで下落した。
豪ドル/米ドルの分析と注目ポイント
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豪ドルのファンダメンタルズ要因
オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は5日午前、予想通り政策金利を現行の4.35%に据え置くと決定した。前回の金融政策決定会合では、インフレ圧力、住宅価格の上昇、労働市場のひっ迫が重要な要素となり、金利は引き上げられた。その後、月次消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化し、制限的な金融政策の影響が遅れて住宅価格に重くのしかかったうえ、労働市場もやや弱含んだ。全体として見ると、比較的堅調な雇用市場がRBAにとって最も懸念される変動要因で、状況は米国経済や米連邦準備制度理事会(FRB)と同じである。
金利市場では、2024年12月までに実施される予想利下げ幅は1週間で約13ベーシスポイント(下表参照)上積みされた。RBAは引き続き経済指標データに左右されると筆者は予想しているが、利上げサイクルのピークに達している可能性は十分にあり、2024年には他の主要な中央銀行と同様の道をたどることになるかもしれない。多くの中央銀行が2024年半ばごろに利下げに動くとみられているなか、RBAの金利見通しは再び「ハト派的」に見直され、オーストラリアドルは下振れしやすくなるかもしれない。
豪中銀の金利予想
資料:Refinitiv
RBAによる金利発表に先立ってジュード―・バンク(中小企業向け融資に特化したオーストラリアの融資銀行)が発表した購買担当者景気指数(PMI)は、サービス業、総合指数ともに年初来の最低水準に接近し、オーストラリアの景気減速が進んでいる状況を浮き彫りにした。また、7-9月期の経常収支は2022年7-9月期以来1年ぶりにマイナスに転じ、これも成長鈍化を示した。豪ドル/米ドル市場ではこの後、8日に発表される米非農業部門雇用者数(NFP)を待つなか、米ISM(供給管理協会)サービス業PMIおよび米雇用動態調査(JOLTS)も注目されている。
豪ドル/米ドルに関する経済指標カレンダー
テクニカル分析
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:ウォレン・ヴェンケタス
日足チャートで豪ドル/米ドルのプライスアクション(値動き)を見ると、RSI(相対力指数)で買われ過ぎの領域に入っていることもあり、トレンドラインのレジスタンス(黒)によって強気の動きが制限されている。現在のサポートは200日移動平均線(青)だが、ISMとJOLTSが強い内容となれば、簡単に下抜けるだろう。中東紛争の激化がリスク心理を悪化させており、これも米ドルを押し上げる要因となり得る。
主要レジスタンス水準
- 0.6700
- トレンドラインのレジスタンス
- 0.6596
主要サポート水準
- 200日移動平均線
- 0.6500
- 0.6459
- 50日移動平均線
- 0.6358
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テクニカル分析入門
市場センチメント
推薦者: Warren Venketas
--- DailyFX.com リサーチチーム ウォレン・ヴェンケタス著
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