原油、OPECプラス、サウジアラビア、順ざや、逆ざや、ボラティリティ、中国 - トーキングポイント



21日のニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油先物相場は約5ドル下落し、10カ月ぶりの安値水準まで落ち込んだが、その後上昇に転じ、週明けの水準に戻った。
この乱高下は、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成されるOPECプラスが来週の会合で、日量50万バレルの増産を検討していると伝えたウォールストリート・ジャーナル紙の記事が引き金となった。その後、サウジアラビアがこの報道を否定し、相場はその日の始値の水準まで戻った。
先週金曜18日、先物市場が2021年5月以来の順ざや状態に入ったことで、原油市場に変化が起こり始めたように見受けられる。順ざやは、原油市場の根底にある需給のダイナミクスを示すものである。
順ざやは、決済が最も近い期近物が、それより決済日が遠い期先物よりディスカウントされている場合に発生する。これは、即時受渡しとなるもののために高い金額を支払う意欲が市場にないことを意味し、参加者には待つ用意があることを示唆している。
18日と週明け21日に順ざやは発生したが、両日とも再び逆ざやに戻り、取引を終えた。



順ざやの逆の現象である逆ざやは、決済に最も近い期近物の購入金額が、それより決済が後になる期先物よりも高い場合に発生する。待たされるよりも、すぐに受け渡しができるなら、高くてもいいという市場の意思を浮き彫りにしている。
パンデミックに対処するための経済支援策が効き始めた2021年初頭から、逆ざやが原油市場の特徴となっている。今回、順ざやの領域に入ったことは、より広範な世界のマクロ経済環境について何かを語っているのかもしれない。
原油先物相場は上下に振られ、ボラティリティは一段と上昇したが、比較的抑制された状態が続いている。
週末に北京で新型ウイルスによる死者が3人報告されるなど、中国では新型コロナウイルス感染症患者が急増しており、新たに厳しいコロナ規制が敷かれる可能性が出てきたことも原油相場の足かせになりかねない。重慶、広州、石家荘など中国の重要都市では、都市閉鎖(ロックダウン)を強化する動きが出ている。
WTI原油先物、逆ざや/順ざや、原油ボラティリティ

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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