※2024年5月7日11時05分更新
このレポートでは、現在の市場動向と値動きを考慮し、想定できるNY金価格の短期的な見通しを探る。
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NY金価格の見通し
- 先週の金価格は1.55%下落し、一時4月上旬以来の安値水準に達した
- 良好なファンダメンタルズにもかかわらず、現在の下方調整はさらに拡大する可能性
- このレポートでは、今後数日から数週間の金/ドルのテクニカル分析見通しを探る
先週のニューヨーク金先物相場 (XAU/USD)は続落し、週末に向けて2,300ドルのしきい値をわずかに上回った。これは、特に先週半ばの米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策発表や先週金曜発表の米雇用統計など、重要な経済イベントがそれほど相場を動かす材料にならなかったことが背景としてある。
金価格の後退は多くのトレーダーの意表を突いた。パウエルFRB議長が利上げ再開の考えを否定し、インフレ懸念が再燃しているにもかかわらず、利下げに転じる可能性が依然として高いことを示唆したため、米国債利回りは低下した。トレーダーの多くはその影響に金相場は大きく反応すると想定していた。パウエル議長のハト派的スタンスは市場センチメントを楽観的な方向に修正し、ディフェンシブ投資をなおざりにしてリスク資産を押し上げた。
崩れる逆相関関係
米国の雇用統計でさえ、予想より弱い結果となり、米利下げ観測を強めたが、貴金属を支えるまでには至らなかった。トレーダーは市場の反応を不可解に思うかもしれないが、これまでの金価格と金利の逆相関関係が今年初めに大幅に弱まり、双方が同時に上昇したことを認識することが重要である。
今後の動きに目を向けると、景気鈍化を示すシグナルの増加、FRBの緩和開始計画、ドルの下落トレンドの台頭は、少なくとも理論的には貴金属にとって強気となるはずだ。しかし、貴金属は今年に入りすでに大きく上昇していることに加え、通常のファンダメンタルズ要因に伴う相場上昇の動きになりづらくなっていることを考えれば、金価格が追い風に逆らって軟化や横ばいの取引が続いても不思議ではない。
今週の相場材料に関しては、米国では注目度の高い経済イベントがなく、比較的静かな小動きの展開が予想される。しかし、この状況は5月15日に予定されている4月の米消費者物価指数(CPI)の発表で一変する可能性がある。データが予想外の内容となれば、センチメントが再び転換し、相場が大きく振れる可能性がある。
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変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -14% | 12% | -2% |
週次 | -8% | 13% | 2% |
NY金価格 テクニカル分析
今週のニューヨーク金価格 (XAU/USD)は、一時ほぼ1カ月ぶりの安値をつけたものの、2,280ドルに位置するサポートを上回る水準を維持することに成功した。強気派はこの下値を強硬に維持する必要がある。守りが甘くなると、2,260ドルの重要なフィボナッチレベルに向かって下落するきっかけとなる可能性がある。この水準から下落が続けば、50日単純移動平均線がある2,235ドルが視野に入ってくる。
現在の水準から強気に転じた場合は、注視すべき最初のテクニカルレジスタンスは2,325ドル、次いで2,355ドルとなる。この領域を取り戻すことは買い手にとって困難かもしれないが、明確なブレイクアウトが実現すれば、史上最高値を起点とする短期下降トレンドラインが位置する2,375ドルに向けて上昇する道が開かれる可能性がある。
NY金価格 日足チャート
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--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著
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