※2023年8月14日17時26分更新
ナスダック100、金、金/ドル – 見通し
- ナスダック100指数と金/ドルのチャート上での類似性が高まっている
- ファンダメンタルズの観点からは、実質利回りの上昇が重要な原動力となっているようだ
- ナスダック100指数のトレンドはどのように進展し、どの水準に注目すべきか?



ナスダック100指数と金先物相場のチャート上での類似性が高まっていることから、実質利回りが上昇する環境下、ナスダック100指数は今後もみ合いまたは小幅安となる可能性が示唆されている。
ナスダック100指数は年初から目を見張るような上昇ぶりを見せ、50%近くも上昇した。短期チャートでの指数の絶対水準とモメンタムは、長期チャートでの展開とは異なる。指数が史上最高値2,021に近づくにつれ、長期チャートでのモメンタムは弱くなっている。このような状況は通常、新しいトレンド(この場合は上昇トレンド)の始まりではなく、デッドキャットバウンス(株価が大きく下げた後、一時的に起きる反発のこと)となる確率を高める。つまり、2023年初頭からの上昇は、2021年に始まった大きな調整局面の一部である可能性が高い。
ナスダック100 月足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:Tradingview
同様の展開が金相場の月足チャートでも起きており、2023年4-6月期(第2四半期)に初めて注目された。3月28日付記事「金価格見通し:難しい2,000ドルの壁超え」、4月16日付記事「金価格の週間見通し:金/ドルは慎重な姿勢に転じる時が来た?」をご参照ください。その後、金/ドルは2020年と2022年に付けた過去の高値を決定的にブレイクするには至らなかった。金相場は現在、200日移動平均線という重要なサポートを割り込む恐れがある。詳細は8月13日付記事(英語のみ)をご参照ください。
金/ドル 月足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:Tradingview
価格チャートだけでなく、実質利回りもこの2つの市場の共通項かもしれない。実質利回りの急上昇は、金相場を圧迫する直近の要因のようだ。先週の記事で取り上げたように、実質利回りは名目金利が上昇する中、上昇し、長期金利の上昇が定着するという認識が広がる中、物価上昇圧力は緩和、インフレ期待は後退の方向に向かってはいるが、名目金利の上昇を受け実質利回りは上昇している。8月10日付記事「金価格見通し:高い実質利回りが金/ドルをむしばみ始める?」をご参照ください。
ナスダック100 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:Tradingview
株式は、ほぼゼロに近い金利とマイナス実質金利の環境下で成功を収めた。しかし、資本コストの上昇とプラスの実質金利は、株式が他の資産クラスをアウトパフォームするハードルを高めることを意味する。現在、バリュエーションが過去の平均を上回っているため、なおさらである。プラスの実質金利は、利回りの低い金資産を保有する機会費用を増加させており、ここ数カ月間は金相場の軟化につながっている。
金/ドル 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:Tradingview
ナスダック100指数の上昇は、単独では勢いを失いつつあるように見える。米国株価指数の詳細については、8月3日付記事「S&P 500、ナスダックの見通し:ついに上昇トレンドに亀裂?」をご覧ください。ナスダック100指数が先週、7月下旬の安値15,375という小型のサポートを下回ったことは、指数の上昇に亀裂が生じつつあることを示唆している。これは、2022年後半からの上昇チャネルの上限ラインを決定的に上抜けできなかったことに続く値動きである。5月の金の日足チャートでも同様の展開があり、このことが、金/ドルを日足チャート上の一目均衡表の雲下端付近にある89日移動平均線に向かわせた。ナスダック100指数では、89日移動平均線と一目均衡表の雲下端は現在、14,000―14,400付近に位置している。
公平を期すために言っておくと、これはナスダック100指数が差し迫って弱気に転じたことを意味するわけではない。継続的な上昇を期待している投資家のリスクとリターンが、数カ月前ほど魅力的でないように見えるということを示唆している。



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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