※2023年3月28日16時18分更新
金、金/ドル - テクニカル分析見通し
- 金相場は上昇の勢いが衰える兆しが見える
- 2,000ドルはかなり強力な心理的水準兼レジスタンスである
- 注目すべき重要な水準とは?



金価格のテクニカル分析見通し:中立
リスク選好の動きは落ち着いているように見え、金相場が重要な心理的水準である2,000ドルを上方ブレイクするのは難しいかもしれない。
米地銀ファースト・シチズンズ銀行が経営破綻したシリコンバレー銀行の大部分を買収し、金融大手UBSはクレディ・スイス(CS)を買収することで救済した。また規制当局は株価が急落したCSに対し、流動性を提供すると表明し、異例の対策を講じた。この一連の動きは、世界金融危機以来の大きな金融システム不安を和らげるとの見方が強まり、投資家に安心感を与えた。
金/ドル(XAU/USD)日足チャート
資料:TradingView
金/ドルは2月末から10%超上昇した。米経済指標は引き続き、米国経済の堅調ぶりを示している(米国のエコノミック・サプライズ指数は10カ月ぶりの高水準)が、まだ拭い切れていない世界の金融セクターに対する懸念が影を落とし、金の安全資産としての魅力が高まっている。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクルが予想より早く終了するとの見方が米国債利回りの重しとなり、金利のつかない資産の支えとなっている。
金/ドル(XAU/USD)週足チャート
資料:TradingView
31日に発表される2月の米個人消費支出(PCE)コア価格指数への関心度が高い。市場では前年同月比4.7%上昇と、前月と同水準と予想されている。予想より強い内容となった場合、米利下げ観測が後退する可能性がある。FRBは先週、利上げが近く一時停止される可能性があると示唆し、市場では早ければ2023年7-9月期に利下げが実施されるとの見方が強まった。
日足と週足のチャートでは、価格は重要な心理的水準でありレジスタンスである2,000(2022年4月の高値を含む)を試しているものの、RSI(相対力指数)では弱気のダイバージェンスが示現しており、上昇の勢いが衰えてきていることを示している。とはいえ、相場の下落が差し迫っているわけではない。
金/ドル(XAU/USD) 240分足チャート
資料:TradingView
3月中旬の安値1,934を下方ブレイクすれば、当面の上昇の勢いは弱まったことが確認される。このようなブレイクは、小型のダブルトップ(3月下旬の高値で形成)を生み出すきっかけとなり、1,875へ向けて下落する可能性が出てくる。
金の急反発は、89日移動平均線と重なる2月末の安値1,804が位置する目先の強いサポートから上昇に転じた結果である。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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