※2023年8月9日14時34分更新
ドル、英ポンド/ドル、英ポンド、米・英国債、中国、ムーディーズ - トーキングポイント
- 今週は、世界経済成長に対する不透明感からドル高が再開
- 中国経済の先行きを見極めたいムードが広がり、投資資金は国債に向かう
- 英ポンドはサポート水準をなんとか維持したが、英ポンド/ドルは持ち堪えられるか?



9日アジア時間の外国為替市場では、米国債利回りが低下しているにもかかわらず、ドル相場は上昇している。世界経済の成長見通しが不透明な環境下、安全資産として債券に資金が向かっているようだ。
米10年債利回りは先週金曜に4.20%まで上昇したが、今週は4.0%を割り込み、米国債に対する需要が再び戻ってきている。
中国税関総署が8日発表した7月の貿易統計によると、中国の貿易は806億ドルの黒字と、予想(706億ドルの黒字)を上回った。しかし、輸出は前年同月比14.5%減少、輸入は同12.4%減少と、いずれも大きく落ち込んだ。
世界第2位の経済大国である中国の経済活動が縮小している証左であり、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが7日に複数の米国銀行を格下げしたことをきっかけに生じた先行き懸念に拍車をかけた。
ドルが買われる中、英ポンドは下値を切り下げるかと思われたが、1.2680のサポート付近で踏みとどまった。
米国債、英国債の両市場の特徴は、2年債利回りが10年債利回りを上回る逆イールド状態にあることだ。米国債の利回り格差はマイナス75ベーシスポイント(bp)近辺、英国債はマイナス50bp近辺となっている。
市場が高い長期債利回りを求めない時、その意味するところは、この先、困難な経済状況が到来する可能性があるということである。
そのようなマイナス面がある一方で、7月に好調を維持した株式相場は、8月に入ってから下落に転じてはいるものの、史上最高値まであと一歩のところまで来ている。
通貨については、世界経済の先行きに対するリスクが高まり続ければ、ドルはさらに上昇する余地がありそうだ。その場合、英ポンド/ドルは再びサポート水準を試す可能性がある。
英ポンド/ドルのテクニカル分析
英ポンド/ドルは昨日、1.2670-1.2680エリアに位置する過去のブレイクポイントのすぐ上にある1.2685の安値を付けた。これらの水準が引き続きサポートとなる可能性がある。
その水準の下では、1.2620と1.2590付近の直近の安値がサポートとして機能するかもしれない。1.2590は現在、100日単純移動平均線(SMA)と重なっており、サポートをさらに強化する可能性がある。
SMAを見ると、価格は、いずれも右肩上がりの55日、100日、200日SMAを上回る水準にある一方、右肩下がりの10日、21日SMAは下回っている。
これは、目先の弱気モメンタムが展開されつつあるが、中長期的な強気モメンタムは今のところ維持されていることを示唆している。
上値では、心理的水準1.3000付近の直近高値がレジスタンスとなる可能性があり、この水準は過去のブレイクポイントとも重なっている。
さらなる上昇局面では、1.3150-1.3160エリアのブレイクポイントのすぐ下にある16カ月ぶりの高値1.3142がレジスタンスとなる可能性がある。
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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