中東情勢が緊迫化する中、金(ゴールド)および銀(シルバー)価格が上昇している。このような中、米国金利と金・銀価格の関係に変化が。金・銀価格の今後の見通しとは
サマリー
- 中東情勢緊迫化を受け、金、銀が上昇
- 米国金利と金・銀の関係に変化
- 金および銀価格の今後の見通し
有事の金・銀
中東情勢の緊迫化を受け、投資家のリスク回避姿勢が強まった結果、金や銀価格が上昇している。有事の貴金属として上昇しているが、今までと異なる上昇、という側面も示している。
資料:Trading EconomicsよりDaily FXが作成。9月末から足元までのパフォーマンス。
金利が付かない金や銀は、米国金利上昇局面で相対的な魅力度が低下し、金や銀価格が下落する傾向がある。FRB(米連邦準備制度理事会)が高い政策金利を長期間維持する方針を示していることを受け、米国金利が上昇する中、金や銀価格は下落基調であった。
しかしながら、10月に入り、米国金利と金・銀価格の関係が崩れている。10月に入って米国金利が一段と上昇したものの、金・銀価格が上昇している。米国金利上昇による金・銀価格の下落圧力よりも、中東情勢緊迫化による不透明感から安全資産として金・銀を求める需要が勝り、金・銀価格が上昇していることを示唆している。
金・銀価格と米国金利(軸反転、10年債利回り)
資料:Trading View
このことは、中東情勢の緊迫化に対する投資家の不安心理が強いことを示しており、中東情勢の不透明感が継続する限り、金・銀価格のサポート要因として機能する可能性があるが、テクニカル面を踏まえた金・銀価格の見通しとは。詳しく見てみたい。
金価格の見通し
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 17% | -8% | 4% |
週次 | -7% | 13% | 1% |
金価格(XAU/USD)は、日足チャートで、7月20日高値を起点とした右肩下がりのレジスタンスラインを上方ブレイクし、下落トレンドからの転換を示している。また、9日指数移動平均線が、20,50,200日指数移動平均線を上抜ける金価格に強気の「ゴールデンクロス」が示現しており、テクニカル面で強気シグナルが点灯している。
中東情勢の不透明感が短期的に解消することは見込みづらく、金価格の逆風となる米国金利の更なる上昇余地も乏しくなってきている中、金価格の一段高を見込む。
金価格は、2月から5月にかけての金価格の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準1,976ドルを終値ベースで上方ブレイクした場合、上昇圧力が一段と強まり、心理的節目である2,000ドルへの上昇が視野に入る。金価格が下落した局面では、レジスタンスラインがサポート転換しているかに注目。サポート転換していることが確認された場合、金価格の地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。
金価格(XAU/USD)日足チャート
資料:Trading View
銀価格の見通し
銀価格(XAG/USD)は、金価格同様にテクニカル面で強気シグナルが点灯している。銀価格は、日足チャートで8月30日高値を起点としたレジスタンスラインを上方ブレイクし、下落トレンドからの転換を示している。また、9日指数移動平均線が20日指数移動平均線を上抜け、銀価格に強気の「ゴールデンクロス」が示現している。
テクニカル面の強気シグナルに加え、中東情勢を巡る不透明感が銀価格をサポートすることを見込む。銀価格は、8月30日から10月3日にかけての値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント61.8%水準23.36レベルへの上昇を見込む。上方ブレイクに成功した場合、銀価格は心理的節目である24.00レベルが視野に入る。
銀価格が下落した局面では、8月30日高値を起点としたレジスタンスラインがサポート転換しているかに注目。サポート転換していることが確認された場合、銀価格の地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。
銀価格(XAG/USD)日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著