この章ではスイングトレードの分析をまとめ、基本的なトレードのセットアップの構成に使用されるツールと手法・FXライントレードについて解説します。単独で完璧な戦略は存在しませんが、さまざまな事例を自身のトレード戦略と組み合わせて使用することにより、トレンド相場において一層有利なエントリーとエクジットポイントを見つけることができるでしょう。
トレンドラインは最もシンプルで最も重要な(そしてあまり利用されていない)、トレーダーの武器庫に眠るツールです。節目となる高値や安値をつなぐ線を伸ばすことにより、客観的な形でトレンド相場の傾きや斜線を評価することができます。これが、価格がサポートライン(底)またはレジスタンスライン(天井)として反応するポイントを見極める上で役立ちます。



DXY日足チャートのトレンドラインの引き方とブレイクを狙った手法

トレンドライン分析は、何らかの形で主観性を必要とするため科学というより芸術に近いと考えられます。とは言うものの、トレンドラインを描く時の接点が多いほど、その斜線に対し強い確信が得られます。このことはトレンドライン(斜線)への反応が一層効果を持つことを意味します。
米ドルインデックス(指数)の例では、右上がりの斜線が強気の見通しを示し、価格は上昇基調にあるため大まかな計画は買いです。それではエントリーポイントはどこにすべきでしょうか? 最も有利なエントリーは価格がサポートラインとなるトレンドラインへ下落したポイントでしょう。

この点に関し、ブレイクはより急激で大幅な反転につながることがよくあります。サポートラインとして機能していたトレンドラインがブレイクされた後、その斜線は価格のレジスタンスラインとなり、相場の動きの変化を予測できることがあるのです。この斜線は、現在の下落の動きにおいては意味がなくなってしまいます。



AUD/NZD日足チャートのトレンドラインの引き方とブレイクを狙った手法

同じようにレジスタンスラインとして機能していたトレンドラインのブレイク後は、その線をその後の上昇におけるサポートラインと見ることができます。上のAUD/NZDの例では、1本のトレンドラインが、サポートラインとレジスタンスラインの両方の機能を果たしていることが示されています。12月にこの斜線がブレイクされた後、続く2015年の初頭の上昇において明確なレジスタンスラインとなっています。同じように6月の上向きのブレイクは上昇を加速させ、同じトレンドラインがサポートラインとなっています。
FXのトレンドラインとブレイクのポイント|FXライントレードの基本
トレンドラインを描く際やブレイクの重要なポイントを確認しておきましょう:
- 2点なら推測、3点なら確信- 参照ポイントが2点あればトレンドラインは引けますが、3点目の接点があれば、斜線の有効性を確認できます。そのためひとつの傾斜に大きく依存する前に、確信を得るための3つめの接点を探しましょう。
- ブレイクの評価- トレンドラインは維持されるという想定にもとづき常にトレードすべきですが、相場が実際ブレイクしているか否かを確認する上で検討すべき最重要ポイントはタイムフレームです。経験則として私は通常、その日の終値を見てトレンドラインのブレイクを確認または取り消します。しかしより短い時間軸を使用している時は、プライスアクションを使うと最も良く見分けられます。ブレイク時の押し目や戻り、サポートライン、レジスタンスラインとしての斜線の再トライの時などの反応や動きの変化を探します。マルチタイムフレーム分析についてはこのセクションの他の記事で説明します。
- トレンドラインのブレイクは動きを加速させる- レジスタンスラインまたはサポートラインとしての斜線がブレイクされた場合、それに続く相場の動きは、ブレイクの方向に動くはずです。ブレイクはしたが、その方向への加速が見られない場合は、大抵の場合「ダマシのブレイク」シナリオの兆候です(「かつぐ」とも呼ばれます)。このような勢いのなくなった相場は通常、終わり間近のトレンドであり、大きな相場反転の前触れであることがよくあります。
- ブレイクは追わないこと- レジスタンスラインとしてのトレンドラインの上方ブレイクのトレードは、価格が下落してこの斜線をサポートラインとして試すまで待ち、ストップはこの安値の下に置きます。同じようにサポートラインのブレイクの場合は、相場がこのトレンドラインをレジスタンスラインとして再度試すまで待ち、この転換点の上値にショートでのトレードのストップを置きます。



---DailyFX通貨ストラテジスト マイケル・ブトロス著
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