トレードプランは、トレーダーにとって最重要と言っても過言ではない。だが、トレードプランを持たないトレーダーの数は、持っているトレーダーよりもはるかに多い。
包括的なトレードプランがなければ、思いも寄らない損失が出る可能性もある。ただし、詳細な計画を準備する必要はなく、簡単なものでも十分に機能するだろう。しかし、より詳細な計画があればあるほど、トレーダーの役に立つはずだ。プロセスを体系化し、繰り返し利用できる計画を作成することが重要である。
トレードプランの作成には重要な要素があるが、トレードスタイルに応じて柔軟に対応することが大切だ。計画を作成して実行する際には、「KISSの原則(Keep It Simple Stupid = 物事はできるだけ単純にする)」を念頭に置いてほしい。
FXではトレードプランはトレーダーの必需品だ
何を実行するのにも、成功させたいならば、事前に計画を立てるだろう。トレードの場合も同様だ。マーケットはあまりにも変化が大きく、多くの不確定要素に満ちているため、堅実なフレームワークがなければ、うまくトレードできないはずだ。安定したトレード結果を得るためには、トレードプランは欠かせない。自身の長所と短所を把握し、トレードスタイルに適応させる上でも、トレーダーにとってトレードプランは必需品と言えるだろう。
FXのトレードプランの作成方法ステップ1. リスク管理
適切なリスク管理は、トレードを成功させるために最重要な要素とまでは言えないが、その1つと言える。裁量トレーダーのトレード心理は、リスク管理を重要視している。優れたリスク管理がなければ、トレードプランの残りの部分がどれほど優れていようと意味がないだろう。これは、トレードプランを作成する上で、まずおさえておきたい。
リスク許容度を把握し、自身に適したリスク管理戦略を選ぶ必要がある。トレードごとにどの程度リスクを取るか、複数のポジションにまたがるリスクの合計を確認しなければならない。さらに、一度に保有するポジションの最大数も決めておくべきだ(数が少ないほどリスク管理は容易になる)。
トレードが想定どおりに展開していない場合の「損切り」として、最大ドローダウンを設定しておく。例えば、10%のドローダウンが発生した場合、トレードをストップさせるか、トレードのポジションサイズを縮小させる。トレーダーはまず、資産の保全を念頭に置いてほしい(詳しくはリスク管理に関する記事参照)。
FXのトレードプランの作成方法ステップ2. 分析からのアプローチ
マーケットを分析するためには、さまざまなツールを利用するだろう。だが、どのツールを利用するのかはあまり重要ではない。状況に合わせて一貫したツールを利用していることが重要だ。例えば、サポートライン・レジスタンスライン、トレンドライン、チャートパターン、フィボナッチレベル、移動平均線、EWP(エリオット波動)、センチメント分析、ファンダメンタルズ分析などの組み合わせが考えられる。おそらくどのトレーダーも複数のツールを併用しているはずだ。適切なプロセスを経てツールを利用しなければならないが、初心者トレーダーにとっては困難である。ただし、トレーダーとしての経験が長くなれば、戦略をうまく策定できるようになるはずだ。このように、自身のトレードプランは、トレーダーとしての経験を積むにつれて大きく変化し続けるだろう。
FXのトレードプランの作成方法ステップ3. 注目すべきマーケットとは
すべてのマーケットが同様の動きをするわけではない。そのため、トレードする対象を絞ることは良い戦略だ。なぜなら、シンプルな計画を作成できるようになり、マーケットの特性を学ぶことに集中できるからだ。さらに、各マーケットの特性から特定の時間軸に焦点を当てることも可能になる。例えば、株価指数は非常に短い時間軸(数日以内)でトレードし、FXはスイングトレーダーの視点(数日〜数週間)からトレードすることも選べる。また、FXは75%、指数/コモディティは25%など、あるマーケットに対して他のマーケットと異なる割合のリスク資産を持つことも可能である。
FXのトレードプランの作成方法ステップ4. 時間軸、保有期間
週足、日足、4時間足などのチャートを用いて、数日〜数週間保有するスイングトレーダーや、保有期間が数時間以下で日足チャートから1分足チャートまで用いるデイトレーダーなど、ポジションの保有時間は平均して、どれくらいを想定しているだろうか。または、2つのトレードスタイルを併用している場合もあるだろう。
デイトレードに興味がある初心者トレーダーは、保有期間の短いトレードスタイルに移行する前に、長期の時間軸でトレードすることに重点を置くとよい。また、さまざまな時間軸にまたがってトレードを管理することは、経験豊富なトレーダーでも困難であるため、多くても2つの時間軸を利用するとよいだろう。
FXのトレードプランの作成方法ステップ5. トレードのセットアップを見極める
トレードに最適なセットアップはどのように想定しているだろうか。言うまでもないが、トレードプランの核となる要素である。確信できるトレード機会を生み出す多くの要因が組み合わさることで、このようなセットアップが発生する。トレードに慣れていない場合、自身にとって最適な状況を理解するためには時間を要するはずなので、トレーダーとしての経験を積むことが大切だ。
トレードに最適なセットアップがあり、そのセットアップから判断してトレードを実行するため、セットアップは1つだが、それを実行する方法は1つではない。例えば、10人のトレーダーが同じツールを利用してパソコンの前に座ったとしても、マーケットの分析結果や、そこから判断してどのように実行するかは、トレーダーによって異なる。レンジ相場の場合、あるトレーダーはレンジから外れた際にすぐに買い、別のトレーダーは最初のプルバックを待ってからトレードする計画を立てる。または、2つのエントリー戦略を組み合わせることも可能だ。
FXのトレードプランの作成方法ステップ6. 逆境への対応(成功に結びつける)
ドローダウンが避けられない場合、損失を広げないように対処する必要がある。ポジションサイズを縮小させる、または短期間トレードを停止して負担を和らげ、原因を把握しなければならない。このような状況が発生する前に、発生した時のプランを作成しておくことで逆境へ対応できるはずだ。
さらに、トレードの実行がうまく進んでいる際のプランを作成しておくことも重要だ。過信はトレードの失敗を招くこともあり、正しく管理しないとドローダウンが大きくなる可能性がある。マーケットの状況が良く、トレードの調子も良い場合に、積極的になるのは悪くないが、責任を持っておこなわなければならない。リスクを50%増やすことは管理できないわけではないが、リスクを突然4倍にすることは、ストレスが溜まり、破滅に向かう可能性がある。
FXのトレードプラン作成後は軌道修正するための習慣を身につける
トレードプランを作成した後は、1週間の出来事と自身のトレードを振り返る時間を設けるべきだ。定期的にトレードプランを見直し、必要であれば修正するとよいだろう。取引履歴を確認して、トレード記録を付けることは、トレードプランのプロセスを確実に実行するための優れた方法である。さらに、トレードプランを微調整するためのトレードパターンを特定するためにも有用だ。また、トレードした状況のチャートを保存しておくと、トレードの結果を定期的に振り返ることができるだろう。
マーケットアナリスト ポール・ロビンソン著
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