※2023年9月7日14時43分更新
金、金/ドル - 見通し
- 金価格は重要なレジスタンス付近から後退し、米実質利回りは上昇に転じている
- 金/ドルは、200日移動平均線という重要なサポートに接近
- 金/ドルの見通しと注目すべき重要な水準とは？
ここ数日発表された米経済指標が好調な中、金相場は米実質利回り上昇の影響を再び受け始めている。
金相場は8月中旬に、200日移動平均線と6月の安値1,890というかなり強いサポートから反発した（8月13日付英語記事参照）。この値動きは、米実質利回りは一時的に低下したことが影響していると同時に、8月後半に発表された米経済指標が過度に楽観的だった予想に届かなかったことにも支えられた（米国のエコノミックサプライズ指数は7月末に2年ぶりの高水準を記録し、その後低下した）。
米連邦準備制度理事会（FRB）は利上げを終了することを確約したがらないため、景気が底堅く推移する中、利回りを大幅に低下させるような材料は見当たらない。クリストファー・ウォラーFRB理事とボストン地区連銀のスーザン・コリンズ総裁は、金融政策を決定するに当たり経済指標の動向を見極めることが重要との見解を改めて示した。このようなことから、利回りは引き続き、横ばいから上向きの動きとなる可能性が高いと言える。
金/ドル (XAU/USD) 日足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
米実質利回りは引き続き、8月に付けた数ヵ月ぶりの高水準付近で推移している。名目金利の上昇に加え、物価上昇圧力の低下とインフレ期待の後退も相まって米実質金利を押し上げ、利子のつかない資産である金を保有する機会コストを引き上げている。8月10日付記事「金価格見通し：高い実質利回りが金/ドルをむしばみ始める？」をご参照ください。
日足チャートを見ると、8月下旬に強力な収束サポートから一時的に反発した後、金相場は日一目均衡表の雲上限と89日移動平均線という重要なレジスタンスから後退した。最近になって下げに転じたため、5月以来続いている安値圏での高値・安値の切り下げパターンが継続される確率が高まっている。この弱気パターンを反転するには、金相場は最低でも先週の高値1,952を上回る必要がある。次に、金相場が反発するためには、現在試している4時間足チャート上の一目均衡表の雲下端という重要なサポートを維持する必要がある。
金/ドル (XAU/USD) 4時間足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
これに失敗すると、金相場は200日移動平均線と6月・8月の安値1,885－1,890が位置する重要なサポートに向かい押し戻される可能性がある。このサポートの重要性については、8月13日付英語記事で指摘した。これを割り込むと、2月の安値1,805に向かって下落する可能性がある。重要なポイントは、1,885－1,890を下方ブレイクすると、2022年に始まった上昇トレンドが途切れるということだ。
金/ドル (XAU/USD) 週足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
注目すべきは、数カ月に及ぶ壮大な上昇は自律反発的なもので、新たな上昇トレンドの始まりではない可能性が高まることである。3月28日付記事「金価格見通し：難しい2,000ドルの壁超え」、および4月16日付記事「金価格の週間見通し：金/ドルは慎重な姿勢に転じる時が来た？」をご参照ください。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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