※2023年9月28日16時15分更新
米ドル見通し:対ユーロ/英ポンド/豪ドル/円
- ユーロ/米ドルは主要なサポートを試す展開、英ポンド/米ドルは重要な底値を割り込んだ
- 豪ドル/米ドルは直近のレンジ下限に戻り、米ドル/円は心理的水準150が視野に
- ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル、米ドル/円の次なる動きとは?
米連邦準備制度理事会(FRB)が先週、年内にあと1回の利上げ実施を示唆し、早期利下げ観測も後退した。従来の想定以上に高金利が長く維持されるとの見方が市場で固まりつつある中、米ドルは複数の主要通貨に対して主要なレジスタンス水準を上方ブレイクした。これに関するより詳細な議論は、9月21日付レポート「米ドル見通し:FOMCを受けて、対ユーロ/英ポンド/豪ドル」をご参照ください。
ユーロ/米ドル 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ユーロ/米ドル:主要なサポートを試す
ユーロ/米ドルは先週、5月の安値1.0630と重なる2023年初頭からの上昇チャネルの上端を下抜けたことで、中期的な上昇圧力が弱まったことが確認された。価格は現在、1月の安値1.0480を試しており、これを下方ブレイクした場合、昨年終盤に始まった中期的な上昇トレンドは転換するという深刻なリスクに直面することになる。その後のサポートは週足チャート上の一目均衡表の雲下端(現在1.0300付近)であろう。一方、当面の下値リスクを解消するためには、ユーロ/米ドルは最低でも9月20日の高値1.0735を上方ブレイクする必要がある。ファンダメンタルズ要因については、9月19日付レポート(英語のみ)をご参照ください。
英ポンド/米ドル 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
英ポンド/米ドル:弱気見通しを維持
英ポンド/米ドルは、5月の安値1.2300という重要な底値を割り込み、2022年後半から続く高値圏での高値・安値の切り上げパターンが一時的に中断している。7月に200週移動平均線から後退し、その後急落した値動きは、このあや戻しが1年前に始まった上昇を調整する動きである可能性を高めている。詳細については、8月23日付レポート「英ポンド見通し:上昇一服の兆し? 対ドル・ユーロ・円での値動き」をご参照ください。次の重要なサポートは3月の安値1.1800である。1.1600―1.1800を下回れば、2022年に始まった広範な回復トレンドの終了につながる恐れがある。
豪ドル/米ドル 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
豪ドル/米ドル: 直近のレンジ下限を再び試す
豪ドル/米ドルは、直近のレンジ下限である0.6350を下抜けしようとしている。これは、9月初旬から続く上昇チャネルの上端、8月の高値0.6525が重なるかなり強い収束レジスタンスから後退した動きに続くものである。0.6350を割り込むと、2022年11月の安値0.6270に向けて下落するリスクが出てくる。その下には、10月の安値0.6170が次のサポートとして控えている。
米ドル/円 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
米ドル/円:150の心理的な壁
米ドル/円は、2022年の高値152.00からそう遠くない150の心理的な壁に近づいている。上昇トレンドが反転する兆しはなく、週足チャートでのモメンタムが衰えそうな兆候も見えない。この状況は、価格が152.00を目指す可能性を示唆している。米ドル/円は9月初旬の高値147.75を下回らない限り、当面の上昇圧力が和らぎ始めることはないだろう。152.00より上の水準では、1990年の高値160.35が次のレベルとして注目される。より詳しい考察は、9月25日付レポート「日銀会合後の円相場:対米ドル/ユーロ/豪ドルでどう変わった?」をご覧ください。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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