※2023年9月21日17時12分更新
米ドル見通し：対ユーロ/英ポンド/豪ドル
- FOMC会合で金融引き締めの長期化が示されたことを受け、米ドルは上昇
- ユーロ/米ドルと英ポンド/米ドルは非常に強いサポートを試す一方、豪ドル/米ドルは重要なレジスタンスから後退
- ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルの次なる動きとは？
米連邦準備制度理事会（FRB）が年内にあと1回の利上げを実施し、市場予想よりも利下げ幅を縮小すると示唆したことを受け、20日のニューヨーク外国で米ドルは上昇した。FRBは大方の予想通り、フェデラルファンド（FF）金利を5.25－5.5％に据え置き、経済予測は「緩やか」から「堅調」に引き上げた。また「インフレは依然として高水準」にあるとして、もう1回の利上げ実施の可能性を残した。
金利・経済見通しでは、2024年の利下げ幅は、6月に発表された予測より50ベーシスポイント縮小した。米連邦公開市場委員会（FOMC）は現在、2024年の利下げは2回のみと見ており、FF金利は5.1％前後となると見ている。米国経済が他国経済より好調なこともあり、米ドル相場は横ばいから上向きで推移する公算が大きい。
ユーロ/米ドル 週足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
ユーロ/米ドル：まだ安値は確認できず
ユーロ/米ドルは、5月の安値1.0630というかなり強いサポートを試している。売られ過ぎの状況であることから、少なくとも最初のトライで下方ブレイクするのは難しいだろう。しかし、8月上旬の高値1.1065を上回り、下落分を回復しない限り、ユーロ/米ドルは横ばいから下向きの見通しのままとなる可能性が高い。1.0630を下回ると、1月の安値1.0480が次のサポートとして意識されるだろう。
英ポンド/米ドル 日足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
英ポンド/米ドル：弱気見通しに変化なし
7月以降続く安値圏での高値・安値の切り下げにより、英ポンド/米ドルの短期見通しは弱気なままである。価格は2022年末以来初めて、日足チャートで一目均衡表の雲を下回った。これは強気な見通しが変化したことを反映している。詳しくは、8月23日付レポート「英ポンド見通し：上昇一服の兆し？ 対ドル・ユーロ・円での値動き」をご参照ください。
英ポンド/米ドルは5月末の安値1.2300、200日移動平均線付近に位置するかなり強い収束サポートを試している。しかし、売られ過ぎの状態と見受けられるうえ、このサポートは強力なため、下方ブレイクが差し迫っているようには見えない。とはいえ、5月の安値1.2300を決定的に割り込むと、2022年後半からの高値圏での安値・高値の切り上げパターンが途絶えることになる。次の重要なサポートは3月の安値1.1800であろう。
豪ドル/米ドル 4時間足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
豪ドル/米ドル：重要なレジスタンスから後退
豪ドル/米ドルは、8月の高値0.6525と9月上旬を始点とする上昇チャネルの上辺が重なる、かなり力強いレジスタンスから後退した。現在、焦点は、4時間足チャート上の一目均衡表の雲下端付近にある、18日の安値0.6415という重要なサポートに移っている。月初からの回復基調を継続するには、豪ドル/米ドルはこのサポートを上回る水準を維持する必要がある。それに失敗すれば、当面のバイアスは強気からレンジ相場に移行するだろう。0.6350付近に位置する8―9月の安値圏を割り込むと、2022年11月の安値0.6270に向けて下降するリスクが顕在化する可能性がある。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。
新たなレポートの配信等はtwitterアカウント @DailyFXJapan で確認できます。
