※2023年8月2日15時16分更新
金、金/ドル、ドル、ドル指数、フィッチ、ダブルAプラス、米国債利回り、金のボラティリティ - トーキングポイント
- 動きが出ている他市場もあるが、金相場は方向感がないように見える
- フィッチによる格下げ発表により、リスク資産に圧力がかかり、安全資産には追い風となることが予想される
- 金相場にボラティリティが生じた場合、それは貴金属を支えるのか、それとも下押すのか?



1日のニューヨーク金先物相場は引けにかけて売りに押されたが、2日アジア時間ではやや買い先行の底堅い値動きで始まった。
この値動きは、格付け大手フィッチ・レーティングスが長期外貨建て米国債の信用格付けを最上級の「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引き下げたことを受けたものだ。
フィッチは、米国は「今後3年間で予想される財政状況の悪化や、政府債務の負担増大」が予想されるほか、過去20年間における財政運営に対する信任が『トリプルA』や『ダブルAプラス』の他国に比べ劣っている」と指摘した。
皮肉なことに、2日アジア時間の取引開始早々、米国債は価格が上昇し、利回りは低下した。リスク回避の動きが米国政府の借入コストへの影響を上回ったようだ。
米国債利回りは、きょう2日は4%を割り込んだが、1日の米国取引時間中には顕著な上昇を見せ、長期金利の指標となる10年債利回りは4.06%近辺で取引されていた。
フィッチによる格下げ発表は1日の米国株現物取引終了後に発表されたが、株価指数先物はその影響を受けて下落している。2日のAPAC(アジア太平洋地域)の株式も同様に、軟調な展開が予想される。
リスク回避ムードが終日続くなら、金相場のボラティリティは上昇するかもしれない。
GVZ指数は、S&P 500種株価指数のボラティリティを測定するVIX指数と同様の方法で計算される金相場のボラティリティ予測指標である。金のボラティリティは低迷しており、市場が相場の方向性に対し迷いがあることを示している可能性がある。
ドル相場の値動きも金価格に影響を与えるかもしれない。
金スポット価格と、米10年債利回り・ドル指数・GVZ指数との比較
資料:TradingView
金相場のテクニカル分析
金価格は、ほぼ5カ月間のレンジ1,885-2,062の中央付近で推移している。価格はまた、10日、21日、34日、100日単純移動平均線(SMA)近辺に位置しており、これは金相場が方向感に欠けていることを示唆している。
レンジの下限である1,885-1,895は注目すべきサポートエリアである。
このエリアには、いくつかの過去の安値、ブレイクポイント、200日SMA、そして1,614から2,062までの動きのフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準が存在する。
さらなる下降局面では、フィボナッチ・リトレースメント50%の水準1,838がサポートになるかもしれない。
一方、レジスタンスは直近高値1,897、または2,000近辺のブレイクポイントだろう。
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。