※2023年9月27日17時17分更新
豪ドル/米ドル、オーストラリアの月次CPI - トーキングポイント
- 豪ドル/米ドルは、8月の豪月次CPIが予想と一致したものの、序盤の上昇を維持
- 豪ドル/米ドルは引き続きレジスタンスに直面、豪ドル/NZドルは主要なサポートを試す展開
- 豪ドル/米ドルと豪ドル/NZドルの注目すべき重要な水準とは？
27日アジア時間のオーストラリアドル相場は、8月の豪CPIが予想と一致し、追加利上げ観測は後退したものの、序盤の上昇分を維持した。
オーストラリアの8月の消費者物価指数（CPI）は前年同月比5.2％上昇と、予想通り加速した。月次CPIは変動が大きく、必ずしもオーストリア準備銀行（RBA、中央銀行）がより重視する四半期CPIの良い予測材料とはならないが、頑強な高インフレは当面、RBAがタカ派的な姿勢を維持する可能性を高めている。
豪ドル/米ドル 5分足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
フィリップ・ロウ前RBA総裁は今月初め、賃金と企業利益が、2025年後半に目標に戻ろうとしているインフレ率上昇ペースを上回るリスクがあると述べた。RBAは今月初旬の理事会で、最近のデータはインフレ率が2025年後半までに目標レンジの2－3％に戻ることと整合性があるとして、政策金利を4.1％に据え置いた。市場では、RBAの利上げが来年初めにもう1回実施されるとの見方が優勢で、2024年に利下げが実施される可能性はほぼ排除されている。
一方、米連邦準備制度理事会（FRB）の政策金利水準がより高く、より長く（Higher for longer）定着するとの見方が強まるなか、米国債利回りが上昇したため、リスク選好の動きは後退している。シカゴ地区連銀のオースタン・グールスビー総裁は、インフレ率が長期にわたってFRBの目標水準である2％を上回って推移することは、利上げによって必要以上に経済が減速することよりも大きいリスクであるとの見解を示し、中央銀行が優先すべきことをほのめかした。
豪ドル/米ドル 日足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
さらに、中国経済と地政学的な緊張に対する懸念が引き続きセンチメントに重しとなっている。中国当局はここ数カ月、いくつかの経済支援策を打ち出すことでこれに対応してきたが、こうした措置がセンチメントを好転するまでには至っていない。
豪ドル/米ドル：重要なレジスタンスを下回る水準にとどまる
テクニカルチャートでは、豪ドル/米ドルの反発は、8月下旬の高値0.6525という重要なレジスタンスで力尽きた。小反発する可能性については、以前のレポートで指摘している。8月28日付レポート「米ドル見通し：レジスタンス試す展開、パウエル議長講演を受けて」、8月29日付レポート「豪ドル見通し：豪CPI控える中、反発に期待感」をご覧ください。
豪ドル/米ドル 週足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
豪ドル/米ドルはこれまでのところ、0.6525を上抜けできておらず、より長期のチャート（週足チャート参照）では上昇の勢いがないことから、横ばいまたは下降の値動きが続く公算が大きい。9月上旬の安値0.6350を下方ブレイクすれば、小型のダブルトップ（8月と9月の高値で構成）形成のきっかけとなり、2022年10月の安値0.6170に向かって下降する可能性が出てくる。
豪ドル/NZドル 日足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
豪ドル/NZドル：レンジの下限を試す展開
豪ドル/ニュージーランドドルは、レンジ下限である7月の安値1.0720を試している。これを下方ブレイクした場合、まずは5月の安値1.0550に向かって下降する可能性が出てくる。しかし、価格は1.05―1.11のレンジ内にしっかりとどまっているため、1.0550の下方ブレイクが必ずしも弱気見通しへの転換につながるわけではない。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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