※2023年7月24日16時18分更新
豪ドル見通し: 中立



先週のオーストラリアドル相場は、国内では驚くほど堅調な雇用統計が注目を集め、波乱含みの展開となった。その他、米ドルの乱高下も引き続き、豪ドル/米ドルのボラティリティを高めている。
オーストラリアの6月の失業率は3.5%と、予想(3.6%)以上に労働市場がひっ迫していることが明らかになった。6月の雇用者数は3万2,600人増加し、予想(1万5,000人増)を大幅に上回った。前月は7万5,900人の増加だった。
注目すべきは、フルタイム雇用者数が3万9,300 人増加し、パートタイム雇用者数が6万7,000人減少したことである。労働参加率は66.9%から66.8%へとわずかに低下した。
景気に減速の兆しは見られるものの、労働市場のひっ迫は物価上昇圧力を緩和することを難しくしている。
今週26日には、2023年4-6月期(第2四半期)の豪消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグのエコノミスト調査では、前期(第1四半期)の7.0%上昇に対し、6.2%上昇と予想されている。
同調査では、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が重視するトリム平均の上昇率は6.2%と見られている。前期は6.6%上昇だった。
四半期CPIは、月次のインフレ率よりも正確な指標である。月次CPIは、加重された四半期CPIの62-73%しか対象にしていない。詳細はこちら(英語)で確認できます。
RBAは、長期的に四半期ベースで平均2-3%のインフレを目標としている。26日は、豪ドル建ての金融商品を扱うトレーダーにとって特筆すべき日となりそうだ。
さらに、来週は米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定会合が予定されており、米国からは様々な経済指標が発表される。これらすべてが金融市場と豪ドル/米ドル相場を動かす可能性がある。
背景には、中国当局が景気刺激策を水面下で進めていると言われるなか、中国経済に対する先行き不透明感が拭えないという状況がある。
市場は、中国の経済活動が再加速するには、大きな援護射撃が必要だと考えているようだ。
豪雇用統計は豪ドル/米ドルに影響を与えたが、DXY(米ドル)指数との逆相関が引き続き相場を支配するかもしれない。今後、イベントリスクが積み重なると、多くの市場でボラティリティが上昇する可能性がある。
豪ドル/米ドル相場と米ドル指数
資料:TradingView
豪ドル/米ドルのテクニカル分析
当社記事の常連読者には壊れたレコードのように聞こえるかもしれないが、豪ドル/米ドルは5カ月間の取引レンジ0.6459-0.6900にとどまっている。
ちょうど1週間前にそのレンジ上限をブレイクできず、ダブルトップが確認されたように見える。
0.6920を上方ブレイクすれば、このパターンは無効になるが、この水準を下回っている限り、弱気の展開が続く可能性がある。
レジスタンスは0.6741のブレイクポイント、0.6900-0.6920のゾーン、その上には過去のいくつかの高値が存在する0.7010-0.7030のエリアが控えている。
下降局面では、過去の安値0.6595、その下の0.6574と0.6565のブレイクポイントがサポートになりそうだ。
豪ドル/米ドルは、10日および34日単純移動平均線(SMA)を下回ったものの、他の期間の日足SMAをすべて上回って推移している。
強気派にとって、これは短期的な強気のモメンタムが一服したことを示すかもしれないが、中長期的なモメンタムは今のところ維持されている可能性がある。
10日SMAと34日SMAを除けば、他のすべての期間のSMAは0.6685-0.6720に位置しており、このエリアがサポートとなりそうだ。
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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