フィボナッチを使用したFXのレンジ取引手法とは
フィボナッチ分析は潜在的な将来のプライスアクションを見つける試みにおいて金融マーケットに適用することができ、これを先行指標と考える人もいます。本稿ではレンジ相場でのトレードについて取り上げ、レンジ相場に現れるサポートラインとレジスタンスラインの潜在的領域を探す時にフィボナッチリトレースメントをどのように利用するかについて解説します。
FXのマーケットの状態とレンジ取引
相場には基本的にトレンド相場とレンジ相場の2つの状態があります。その2つの間に、レンジ相場を新しいトレンドへと進ませる「ブレイクアウト」という移行状態があります。
レンジ相場は、サポートラインとレジスタンスラインと呼ばれる2つの明確に規定された領域の間でトレードがおこなわれる時に発生します。価格は上昇しレジスタンスラインを試してから、それより上へと突破することなく、最終的には下降します。同様に価格はサポートラインに向かって下落し、それより下へとブレイクすることなくその後上昇に転じます。サポートラインとレジスタンスラインの間をプライスアクションが何度も行き来する状態を確認することがトレードをする範囲の確立に欠かせません。



レンジ取引の図

DailyFXのサポートラインとレジスタンスラインのページでは、人気のあるマーケットのサポートラインとレジスタンスラインがご覧いただけます。
レンジ相場でトレードする時には、レンジの上または下へのブレイクアウトを考慮の外に置くことはできません。トレーダーは利用できるリスク管理ツールを利用し、さまざまなリスク管理テクニックを採用することが推奨されます。



フィボナッチを使用してFXでレンジ相場の領域を設定する
資産の価格が大幅に上昇または下落し、大幅な値動きが起こると、マーケットは部分的にまたは全面的に最初の動きを戻し、調整局面(保ち合い)に入る傾向があります。フィボナッチ水準はこのような調整局面(保ち合い)が発生した時に、潜在的なサポートラインとレジスタンスラインの領域についてのヒントを提供します。
下のGBP/USDの日足チャートは、価格が2つのフィボナッチ水準の間でレンジ相場となる傾向があった領域を示しています。2020年3月に発生した大幅な値動きは、それにもとづいてフィボナッチリトレースメントを描くことのできる大幅な値動きとなりました。そしておよそ4か月後、プライスアクションは、平均回帰/レンジ内で動く間にこれらのリトレースメント水準において、複数の動きの変化を示しています。ここでは、76.4%のリトレースメント水準も追加しています。これはフィボナッチリトレースメントと一緒によく追加される水準です(1-0.236=0.764)。
38.2%と50%の両方のリトレースメント水準がレンジの色々な場所でサポートラインとして機能し、下落の場面で安値のサポートラインになっている点に注意してください。

これらのフィボナッチ水準は、下に示すように2017年の高値から2018年の安値にもとづき引いたフィボナッチリトレースメントに対応しています。
フィボナッチを使用したFXのレンジ取引手法
同じGBP/USDチャートで、左から右への長期にわたる高値切り下げと安値切り下げの期間が最初の下降トレンドを明確に示しています。その後、前の大幅な値動きの50%以上を取り戻す強力な戻りがあり、その後、プライスアクションはレンジ内での値動き(灰色で示す)となっています。
直近の高値である1.2641付近のレジスタンスラインを組み込むことで、このレンジをさらに定義することができ、その後の4か月間にわたるレンジでこれらのリトレースメント水準において、複数回の動きの変化が観察されます。最終的にチャートの右側で、61.8%のリトレースメント水準付近でサポートラインが構築され、安値切り上げがGBP/USDの上限のブレイクアウトにつながっていることがわかります。
GBP/USD 4時間足チャート(2020年3月~7月)

平均回帰/レンジ取引の間、トレーダーの目標はレンジの継続の可能性に頼りつつリスクを考えることになります。そのためレンジがブレイクアウトされそうなのであれば、トレーダーは計画がもはや成立しない状況において損失の軽減方法を検討したいと考えます。
これは比較的狭いストップを設定することにより可能となり、特にフィボナッチリトレースメント水準にサポートラインが定められているのであればできます。これによりトレーダーは、サポートラインが38.2、50、61.8%のどのリトレースメント水準であるかに関わらず、レンジの継続の計画を立てている時のリスクの最小化を図ることができます。