海運大手が紅海での運行再開を発表し、原油の供給懸念が一部後退した。原油価格は上昇・下落どちらの方向にも傾いておらず、今後の方向性を見極める上で正念場を迎えているが、今後の見通しとは。
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紅海を巡る懸念がやや後退
イエメンのフーシ派による商船攻撃に伴い、紅海を経由した海上輸送が停滞していたが、海運大手マースクが、運航を近日中に再開することを明らかにしていた。フランスの海運大手も紅海での運行を増やす計画を発表している。
紅海を巡る状況は依然として不透明であるものの、原油の海上輸送の停滞により供給が滞るとの懸念が一部後退した。原油の供給懸念の後退に伴い、WTI原油先物価格は約2%下落した。
資料:Trading ViewよりDailyFXが作成。
原油在庫状況
米国石油協会(API)から、米国における原油およびガソリンの週間在庫量変化が公表された。原油在庫は増加した一方で、ガソリン在庫は小幅に減少した。
10月以降、原油在庫は増加傾向で推移している。ガソリン在庫は一時減少していたものの、足元増加傾向に転じている。
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米国での原油・ガソリン在庫の増加は、原油の需給が緩むとの懸念から、WTI原油価格の下落圧力となる可能性がある。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格(1バレル)は、76ドルがレジスタンスとして機能している。一方、20指数平滑移動平均線(EMA)がサポートとして機能しており、12月19日以降狭いレンジで推移している。RSIはモメンタムが中立であることを示す50前後で推移している。原油価格は、レンジをブレイクした場合に、上昇、もしくは下落トレンドが鮮明になる可能性がある。
テクニカル面で中立なものの、在庫が増加傾向であることに加え、紅海での海上輸送が本格的に回復し、一段と原油の供給懸念が後退した場合、原油価格は下落しよう。その場合、20日指数平滑移動平均線を下方ブレイクし、11月安値72.22ドルへの下落が視野に入る。
一方、テクニカル面では、上昇・下落どちらの方向も示していない中、年末年始の休暇シーズンに伴い流動性が低下しており、突発的に原油価格が上昇する展開に留意したい。原油価格が上昇した場合、76ドルのレジスタンスを終値ベースでブレイクできるかに注目。上方ブレイクに再度失敗した場合、原油価格の地合いが弱いことを投資家に印象付け、下落圧力が強まる可能性がある。
WTI原油価格日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著