FRBの利下げ観測が急速に後退、NY金価格が大暴落している。FRBの利下げは長期的にゴールドのサポートとなることを見込むものの、ヘッジファンドポジションも踏まえた金価格の当面の見通しとは。
FRB利下げ観測に冷や水
16日のウォラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事の利下げけん制発言、そして17日の予想を上回る堅調な米国小売売上高を受け、FRBの利下げ観測が後退した。FRBの積極的な利上げを受けてなお、堅調な個人消費が続いている。
米国小売売上高
資料:DailyFX.com 経済指標カレンダー
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FRBの利下げ観測が後退したことを受け、米国金利が上昇した結果、NY金価格(ドル建、スポット)が大幅に下落した。2日間で、2%を超えて下落しており、約1か月ぶりの安値近辺で推移している。
資料:Trading ViewよりDailyFXが作成
金のヘッジファンドポジション動向
金価格動向に敏感なヘッジファンド等(投機筋)は、12月終わりにかけて金価格が上昇したのち、ロングポジション(金先物を買い持ち、価格の上昇圧力)の利益確定を図っている。この利益確定に伴うロングポジションの削減も、最近の金価格の下落圧力になっていよう。
ロングポジションの水準は過去と比べて高い水準であることに加え、FRBの利下げ観測が後退しつつある中、ヘッジファンド等がロングポジションを一段と積み上げる可能性は低いとみる。
さらに、ロングポジションを一段と削減する余地があり、ヘッジファンドのポジション動向は、金価格にとってマイナスである。
資料:CFTCよりDailyFXが作成。
NY金価格の見通し
NY金価格(スポット、ドル建)は、12月13日から12月28日にかけての値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント61.8%水準2,017ドルを下方ブレイクし、下落圧力が強まっている。また、RSIは50割れに転換し、金価格のモメンタムが弱気に転じたことを示唆している。
長期的には、FRBの利下げ、そして中央銀行による金の購入が金価格の上昇要因になることを見込んでいる。
しかしながら、テクニカル面で弱気シグナルが点灯し、ヘッジファンドポジションもマイナスである中、心理的節目である2,000ドルを下方ブレイクすると、金価格は、当面の下落トレンドが一段と鮮明になる可能性がある。
2,000ドルをブレイクした場合、NY金価格は、12月13日安値1973ドルへの下落が視野に入る。一方、2,000ドルでサポートされた場合、NY金価格の割安感が台頭してきたとの見方を投資家に印象付ける可能性がある。その場合、フィボナッチ61.8%水準2,017ドルへ向けて上昇する展開を想定。
NY金価格(スポット、ドル建)日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著