※2024年1月15日11時50分更新
イエメンにおける緊張の高まりが、先週末から金の魅力を高めている。米短期債利回りが一段と低下していることから、金/ドルはさらに上昇余地が広がる可能性がある。
金価格の見通し、分析、チャート
- 米英軍がイエメンの「フーシ」拠点を攻撃
- 米短期債利回りの低下が金の魅力を高める
- 金のテクニカル分析見通しは引き続きポジティブ
地政学的緊張の高まりとドル安が重なり、12日のニューヨーク金先物相場は先週末に向けて上昇した。米英軍は11日、イエメンの反政府武装組織フーシ派の軍事拠点を空爆した。これによりフーシ派が報復攻撃に出る恐れがあるうえ、双方が引き下がる見込みはないため、すでに険悪な状況はさらに悪化しそうだ。
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米短期債利回りはここ数カ月、米利下げが織り込まれるのに伴い低下している。CMEグループによる最新のフェドウォッチによると、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げは来年、累計150ベーシスポイント(bp)になると市場は織り込んでおり、計6回の25bpの利下げのうち、初回は3月に実施されると見られている。金融政策の動向に敏感な米2年債利回りは現在4.15%で取引されている。昨年10月中旬に記録した数年来の高値水準5.26%から低下し、昨年5月中旬以来の低水準となっている。米国利回りの直近の低下は、安全資産を買う動き、中東情勢悪化懸念、利下げ観測によってもたらされている。
米2年債利回り
資料:TradingView
金価格見通しはテクニカル分析においてもポジティブで、特にファンダメンタルズ的な背景に変化がなければ、さらに上昇する可能性がありそうだ。昨年12月4日の急騰を除けば、上値と下値の切り上げが続いているのに加え、終値で200日単純移動平均線を上回っており、金相場を上昇に導いている。商品チャネル指数(CCI)は上昇に転じており、数週間の売られ過ぎの状態(安値)から値を上げている。昨年12月下旬の高値2,089ドルを上抜けると、2,100ドルが視野に入る。
金価格 日足チャート
資料:TradingView
IGクライアント・センチメントセンチメント(IGCS)によると、58.42%のトレーダーがネットロングにしており、トレーダーのロングとショートの比率は1.40対1となっている。ネットロングのトレーダー数は昨日より1.90%多く、先週より2.68%多い一方、ネットショートのトレーダー数は昨日より4.90%少なく、先週より0.98%少ない。
IGCSは逆張り指標として機能する傾向があり、トレーダーがネットロングであるという事実は、金価格が引き続き下落する可能性を示唆している。
IGCSのデータの変化がセンチメントとプライスアクション(値動き)にどのように影響するかをご覧ください。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -1% | 3% | 1% |
週次 | -2% | 6% | 2% |
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