※2023年6月20日12時08分更新
ユーロ/ドルのニュースと分析
- タカ派はさらなる利上げを支持するが、欧州中銀当局者間では利上げ見通しを巡る相違がすぐに表面化するかもしれない
- ユーロ/ドルの主要なテクニカル水準を分析。週明けはトレンドに逆らう値動き
- 今週は、パウエルFRB議長証言を除き、欧米では目立った経済イベントが少ない
- この記事の分析は、チャートパターンと主要なサポートとレジスタンスの水準を使用している。より詳細な情報については、当社の学習コンテンツをご覧ください。



タカ派はさらなる利上げ支持も、ECB内では温度差が表面化か
欧州中央銀行(ECB)のタカ派で知られるイザベル・シュナーベル理事と政策委員会メンバーのピーター・カジミール氏は、金利がピークを迎える前に、さらなる利上げの実施が必要との考えを示した。シュナーベル理事は、インフレが経済に定着してしまうと、それを抑えるのが難しくなるとして、「やり過ぎない」よりは「やり過ぎる」アプローチを選択するとした。
この議論の反対の立場であるハト派として知られるECBチーフエコノミストのフィリップ・レーン理事は、次回7月の理事会でのもう1回の利上げは最も適切とする一方で、その次の9月も同じ結果になるとは言い切れず、経済指標に依存するアプローチを好むと述べた。
ユーロ/ドル:主要なテクニカル水準を分析
先週のユーロ/ドルは、200ベーシスポイントに迫る勢いで上昇した。ECBの記者会見は解釈が分かれる面があったものの、ECBからの全体的なメッセージは引き締めモードに変わりなかった。一方、米国の債券市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な政策声明や経済見通しにはそぐわない値動きのように見える。
先週1.0965まで上昇したのは行き過ぎのように見え、1.0965は現在、目先のレジスタンス水準として機能している。今週は、米国が19日に祝日で休場となるため、市場はわずかにトレンドと異なる値動きを甘んじて受け入れているように見えるが、この短期的な方向性が本筋なのかどうかは、米国市場が再開される20日に明らかになるだろう。
当面のサポートは1.0910で、このポイントを下方ブレイクした水準を維持すると、次のサポート水準である1.0760に向けて下落する可能性が出てくる。今のところ、MACD(マックディー)は、強気の勢いがまだ衰えていないことを示唆しており、強気派はリトレースメントの範囲を見極めたうえで、強気の取引の継続を検討するかもしれない。
ユーロ/ドル 日足チャート
資料:TradingView,
IGクライアントセンチメントでは、センチメント反転後は強気の継続が好まれている
ユーロ/ドル IGクライアントセンチメント
資料:IG/DailyFX,
ユーロ/ドル:個人トレーダーのデータを示すIGクライアントセンチメント(IGCS)によると、ユーロ/ドルを取引するトレーダーの38.00%がネットロング(ユーロを買い持ち)にしており、トレーダーのショートとロングの比率は1.63対1となっている。ネットロングのトレーダー数は昨日より4.37%多く、先週より39.12%少ない。一方、ネットショートのトレーダー数は昨日より4.45%多く、先週より30.37%多い。
IGCSは通常、群集心理に対して逆張りの見方をする。トレーダーがネットショートに傾いているという事実は、ユーロ/ドルの価格が上昇し続ける可能性を示唆している。
トレーダーは昨日や先週よりもさらにネットショートを増やしており、現在のセンチメント(ポジション状況)および最近の変動(日次、週次でのポジションの変化)からは、ユーロ/ドルの逆張り取引バイアスはさらに強気に傾いていることがうかがえる。
週明けのリスクイベント
今週は、ジェローム・パウエルFRB議長の半期に一度の議会証言が主要イベントとなり、それ以外は特に目立ったリスクイベントは見当たらない。
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--- DailyFX.com リチャード・スノー著
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