※2023年8月1日14時59分更新
原油、WTI、ブレント、OPECプラス、FRB、RBOBクラックスプレッド、逆ざや - トーキングポイント
- 原油相場は、7月の大幅上昇を経て、8月も引き続き上昇基調にある
- 深刻な世界経済不況は免れるとの見方がある中、OPECプラスの減産は彼らが望む効果を発揮している可能性がある
- WTIは、逆ざや状態になっていることを鑑みると、今後さらに上昇するのか?



原油価格は週明けに再び上昇し、米原油先物指標のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)が15.80%、ブレントが14.15%の上昇を記録した先月の快進撃を締めくくった。
米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢が後退する可能性、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国でつくるOPECプラスの減産、世界経済が深刻な景気後退に耐え得るほど堅調な成長を維持するとの期待感が相まって、エネルギー市場には安心感が広がっているようだ。
金利市場は現在、年末までに米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金融引き締めが実施される可能性は極めて低いと見ている。
さらに市場は、FRBが2024年末までに100ベーシスポイント以上の利下げを実施すると期待している。
サウジアラビアは日量100万バレルの減産を8月まで延長したことに加え、ロシアも50万バレルの減産を発表した。
供給のひっ迫は、金融市場が長引く不況を回避できると楽観的に捉えているときに、起こることがある。
2023年4-6月期(第2四半期)の企業決算は全般的に好調と市場は見ており、企業が示す先行き見通しも投資家に自信を与えているようだ。このことは、ここ数週間、すべての主要株価指数が上昇したことにも反映されている。
その他、原油相場の支援材料となる可能性があるのは、RBOB(ニューヨーク市場で取引されているガソリンの銘柄)のクラックスプレッドの最近の上昇である。RBOBクラックスプレッドは、原油価格に対するガソリン価格の指標であり、製油所の利益率を反映している。
RBOBは、含酸素改質ガソリン基材を指し、ガソリンの取引が可能な品質を保持している。製油所の収益性が高まれば、原油の需要増につながる可能性がある。
原油需要の拡大という見方を支えているのは、WTI原油先物の期近物価格が、その直後に満期を迎える期先物価格を上回る動きである。
これは逆ざや(バックワーデーション)と呼ばれ、買い手が通常よりも受け渡しまでの時期を早めたいというニーズの拡大を反映している可能性がある。
今後は、米石油協会(API)や米エネルギー情報局(EIA)の週間石油在庫統計を注視し、需給の変動を見極めたい。
最新の原油価格はこちらでご覧いただけます。
WTI原油先物、RBOBクラックスプレッド、原油のボラティリティ (OVX)
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。