※2023年10月10日11時25分更新
原油、WTI、個人トレーダーのポジション状況、テクニカル分析 - IGCS指標によるコモディティ市場アップデート
9日の米原油先物指標ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は寄り付きから急上昇し、大幅続伸して取引を終えた。終値は前営業日比4.35%高と、4月上旬以来の高値水準を記録した。先週末にイスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃し、供給不安が高まったことを受け、原油を買う動きが広がった。ブルームバーグは、この事態は「米国とイランを巻き込む可能性がある」とし、トレーダーはより壊滅的な代理戦争につながるのではと懸念している。イランは最近、原油の供給を増やしていた。
一方、個人トレーダーは最近、原油の買い持ち(ネットロング)を積み上げている。個人トレーダーのポジション状況はIGクライアントセンチメント(IGCS)で確認できる。供給懸念は目先の下支え材料となるかもしれないが、IGCSがしばしば逆張り指標として機能することを踏まえると、強気なネットロングの増加は原油相場の下押し要因となる可能性がある。
原油価格のセンチメント見通し - 弱気
IGCS指標によると、個人トレーダーの約73%が原油を買い持ち(ネットロング)にしている。大半のトレーダーが買い持ちであることから、原油価格はこの先も下落する可能性がある。ネットロングのポジションを昨日と先週で比較すると、19.36%、94.04%それぞれ大きく増加している。このように、現在のセンチメント(ポジション状況)および最近の変動(日次、週次でのポジション変化)を考慮すると、原油相場の逆張り取引バイアスはますます弱気に傾いていると考えられる。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 6% | -16% | 1% |
週次 | -6% | -5% | -6% |
日足チャートを見ると、WTI原油先物は中東での戦争激化を受け、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準82.99で反発した。また、この値動きにより、50日移動平均線も上抜けた。ただ、上昇トレンドを再開するには、レジスタンス・ゾーン92.62―94.98を上回る必要がある。一方、サポートを割り込むと、リトレースメントの中間点79.29が意識される展開となろう。
原油価格 日足チャート
資料:Trading View
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。
新たなレポートの配信等はtwitterアカウント @DailyFXJapan で確認できます。