ADX(平均方向性指数)をトレーディング戦略に利用する
前回の記事では、ADXについて解説した。多くのことを一度に判断できる指標の方が利用頻度は高くなるが、ADXの役割はトレンドの強さを示すことに重点を置いている。
ADXはトレンドの強さを純粋に示すため、追加的なノイズが発生せず、トレーダーにとって有用だと言える。前回の記事で解説したとおり、トレーダーはトレンドの目安となる値をADXで設定する、または、トレンドフォロー戦略を採用するためにトレンドの強さを判断する上でADXを利用することが多いだろう。さらに、トレンドが十分に強くないと判断した場合は、トレーダーはレンジ戦略やブレイクアウト戦略のいずれかでマーケットに対処することが可能になる。つまり、マーケットの環境に合わせて戦略や約定方法を変更できる。
ADXでトレンドの目安となる値を設定する
前回の記事では、ADXでトレンドの目安となる値を30に設定した。そのため、30を超えるとトレンドが発生していると判断し、30を下回るとトレンドが発生していないと判断できる。これは、トレード手法にADXを組み込むシンプルな方法だが、トレンドが始まり、ADXがその動きを記録し始める重要な転換点を見逃す可能性がある。トレンドが強さを増した時点では、すでにADXの値は上昇している。そして、ADXの値が頂点に達した後に、30を下回って下落し始めると、その時点でトレンドが終わったことが明らかになる。そして、マーケットは直近の値動きを織り込むのだ。
しかし、ADXを利用する目的をシンプルにするならば、指標に標準的となるレベルを用いることは有効と言える。値は30が一般的となり、35も用いられる。積極的なトレードスタイルであれば、25まで下げることも可能だ。
ユーロ/米ドル 週足チャート
ユーロ/米ドルの週足チャート(2014年〜2022年)ジェームズ・スタンリー作成
FXのADXとADXの移動平均線を使った手法
トレンドを評価する際に、ADXの強弱を定義するために、移動平均線を組み込むことも1つの手段である。
テクニカル分析入門
移動平均線
推薦者: James Stanley
ADXは単なる連続した数値であり、移動平均線を指標に組み込むことで、トレンドの強弱を表すことが可能だ。トレーダーは、新しいトレンドの始まりや終わりを早期に予測できる。ただし、実際には発生しないトレンドを示している可能性がある。以下のチャートで見られるように、ADXと移動平均線のクロスの多くは、指標の30よりもかなり低い位置で発生している。
以下のチャートでは、赤色のADXに、青色の14期間単純移動平均線を追加して表示している。
ユーロ/米ドル 週足チャート
ユーロ/米ドルの週足チャート(2014年〜2022年)ジェームズ・スタンリー作成
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ジェームズ・スタンリー著
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