ディセンディングトライアングル(「下降型のトライアングル」とも呼ばれる)は、トレンドの途中で現れる主な継続(コンティニュエーション)パターンの一つです。トレーダーは、相場が大きなトレンドの方向に進むと予想し、それに沿ってトレードのセットアップをおこないます。
ディセンディングトライアングルの主なポイント
- ディセンディングトライアングルとは?
- FXのチャート上でディセンディングトライアングルを見つける方法のセオリー
- ディセンディングトライアングルを使ったトレード手法のセオリー
- ディセンディングトライアングルの利点と欠点
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ディセンディングトライアングルとは?
ディセンディングトライアングルは、弱気の継続パターンで、下降する上方トレンドラインとサポートラインとして機能する水平な下方トレンドラインを特徴とします。このパターンは、売り手が買い手より積極的であることを示しており、価格は高値を切り下げ続けます。相場がトライアングルを全体的なトレンドの方向にブレイクアウトしたときに、このパターンは完了します。

ディセンディングトライアングルのパターン
ディセンディングトライアングルが現れた後の値動きは、複数のパターンがあります。どのパターンにも対応できるよう、それぞれのパターンをしっかりと確認しておきましょう。
サポートラインを下に抜けてそのまま大きく下落
サポートラインを下に抜けてそのまま大きく下落するパターンは、ディセンディングトライアングルの最も基本的なパターンです。三角持ち合いの期間が長く、ローソク足が三角形の頂点に近づけば近づくほど、サポートラインをブレイクした時のトレンドが強くなる傾向があります。要するに、大きな利益を狙いやすいということです。
ディセンディングトライアングルは強い売り圧力がある時に発生するチャートパターンであり、買い圧力が売り圧力に耐えられなくなることで大きく価格が下落することがあります。大きく下落するパターンでは大きな利益を狙える反面、リターン・ムーブ(ブレイクしたサポートラインまで戻る動き)があまり起こらず、戻り売りができないという点がデメリットです。そのため、大きく下落するパターンを想定してエントリーをする場合、「サポートラインを明確にブレイクしたらエントリー」という戦略を取りましょう。
サポートラインで何度か反発をして再度下落
ディセンディングトライアングルではサポートラインをブレイクした後、サポートラインで何度か反発をして再度下落することがあります。つまり、前述した大きく下落するパターンとは異なり、サポートラインまで戻るリターン・ムーブが起こるということです。
サポートラインを下に抜けるとトレンド転換と判断され、トレーダーは売り目線になります。そのため、サポートラインをブレイクすると、サポートラインがレジスタンスラインに転換し、レジスタンスラインを活用した戻り売りをすることが可能になるのです。サポートラインで何度か反発をし、再度下落するパターンを想定してエントリーをする場合は、リターン・ムーブを待ってエントリーをするようにしてください。
サポートラインで下値を支えられて上昇
サポートラインで下値を支えられて上昇するパターンは、ディセンディングトライアングルの失敗パターンになります。ディセンディングトライアングルは、あくまでも売り圧力が強いだけで、必ず下落するわけではないのです。つまり、サポートラインで下値が支えられ、反発して上昇するパターンも頭にいれておく必要があります。
ディセンディングトライアングルを形成した場合は売り目線になりますが、買い圧力が強ければサポートラインで跳ね返され、三角形の上側を構成するレジスタンスラインを上抜けて上昇していきます。レジスタンスラインをブレイクした場合、逆に上昇の勢いが強くなることが多いため、売り目線は一旦やめておく方が無難でしょう。
FXのチャート上でディセンディングトライアングルを見つける方法
何を探せばよいかわかれば、ディセンディングトライアングルを見つけるのは簡単です。以下はFXを含めすべての金融マーケットに適用することのできる方法です
- 下降トレンド:ディセンディングトライアングルが現れる前に、相場は下降トレンドでなければなりません。ディセンディングトライアングルを見つけてもすぐにトレードすべきではないことを覚えておきましょう
- 保ち合い:ディセンディングトライアングルは保ち合い相場となったときに現れます
- 上方トレンドライン:保ち合い相場の中で、高値を線でつなぐことにより、下向きのトレンドラインを描くことができます。下降するトレンドラインは、売り手が徐々に価格を押し下げていることを示しています。これは弱気のトレードバイアスの裏付けになります
- 下方トレンドライン:下方トレンドラインはサポートラインとして機能します。価格がこのラインを何度も試した後に、最終的にブレイクアウトが発生します
- トレンド継続:価格が下方トレンドラインを強く下方向にブレイクアウトした場合、トレーダーは下降の勢いが継続するかどうかで、このパターンの確認をおこないます

ディセンディングトライアングルの引き方
ディセンディングトライアングルの引き方は非常にシンプルです。ディセンディングトライアングルが形成されているかどうかは、以下の2つのポイントで判断することができます。
- サポートラインを引くことができる
- 高値が切り下がっている
ポイントをチェックできたら、ディセンディングトライアングを引いていきましょう
サポートラインを引く
ディセンディングトライアングを引く際には、まずサポートラインを引くとよいでしょう。なぜなら、サポートラインは安値が同じぐらいの価格で何度も反発している部分を見つければ引けるため、FX初心者の方でも引きやすいからです。
ローソク足のヒゲと実体のどちらにラインを引いても構いませんが、ヒゲで引く方が一般的と言えます。ヒゲと実体のどちらにラインを引くかあらかじめ決めておくと、一貫性を持ってトレードすることが可能です。
ラインは間違えても何度でも引き直すことができます。安値が同じぐらいの価格で反発しており、「サポートラインが引けそうだな」と思ったら、まずはラインを引いてみましょう。
トレンドラインを引く
サポートラインが引けたら、次は三角形の上側を構成するトレンドラインを引きましょう。このトレンドラインは高値を切り下げている部分を見つけて引きます。要するに、レジスタンスラインを引くということです。
高値同士をラインで結んでレジスタンスラインを引き、サポートラインとレジスタンスラインで三角形ができれば、ディセンディングトライアングルができます。もし高値同士にぴったりとラインを引くことができなくても、ラインはあくまで目安であるため多少の誤差は問題ありません。
ディセンディングトライアングルの測定テクニック
「下降型のトライアングル」と呼ばれることもあるディセンディングトライアングルには、このパターンに適用するテイクプロフィット(利益確定の決済指値)目標を測るための独自の測定テクニックがあります。
ディセンディングトライアングルパターンの起点において、下降トライアングルの最高点から水平なサポートラインまでの距離(値幅)を測定します。そして、同じ値幅をブレイクアウトポイントから潜在的なテイクプロフィット価格までの値幅に適用することができます。
下の図はAからBへの値幅を、潜在的なテイクプロフィット価格を予測するために、CからDへの値幅にあてはめる方法を示しています。

ディセンディングトライアングルのエントリーと決済ポイントは?
この項目では、ディセンディングトライアングルのエントリーと決済ポイントを解説させていただきます。ディセンディングトライアングル形成時のトレーダーの心理を考えると、エントリーポイントがわかりやすくなります。
エントリーポイントはサポートラインを下にブレイクしたタイミング
ディセンディングトライアングルのエントリーポイントは、サポートラインを下にブレイクしたタイミングになります。なぜかと言うと、サポートラインを下に抜けることでさらに売り圧力が強くなるからです。
ディセンディングトライアングルは強い売り圧力がある時に発生するチャートパターンですが、サポートラインを下に抜けるとトレンド転換と判断されます。要するに、売り目線のトレーダーが増え、さらに売り圧力が強くなるのです。売り圧力が強くなるタイミングでエントリーをすることで大きな利益を狙うこともできます。
また、ダマシを回避したい場合はリターン・ムーブを待ってからトレードする方法もあります。サポートラインがレジスタンスラインに転換したことを確認し、それからエントリーした方が高い勝率を期待できるのです。とはいえ、リターン・ムーブを狙う場合、リターン・ムーブが起こらずに下落してしまうとトレードチャンスを逃すことになります。そのため、自分がトレードチャンスと勝率のどちらを重視するのか決めておき、一貫性を持ってトレードをすることが大切です。
決済ポイントは開始時からサポートラインまでの値幅分下落したタイミング

エントリーをした後は、当然ながら決済が必要になります。ディセンディングトライアングルの決済ポイントは、パターンの開始時からサポートラインまでの値幅分下落したタイミングです。ここで利益確定をおこなうようにしてください。
決済ポイントの考え方は、「レンジブレイクからのトレンドはレンジ幅と同じ値幅分だけトレンドを形成することが多い」と言われていることから来ています。もちろん、それより値幅が狭い、または広い場合もありますが、パターンの開始時からサポートラインまでの値幅分下落したタイミングを目安とするとよいでしょう。
なお、損切ラインはトレーダーによって様々ですが、ブレイクしたサポートラインの少し上に設定すると損切り幅が狭く、リスクが小さいです。サポートラインがレジスタンスラインに転換し、ローソク足が跳ね返されることを期待します。より一般的な損切りラインは下の「ディセンディングトライアングルを使ったトレード手法のセオリー」で後述しています。
ディセンディングトライアングルを使ったトレード手法のセオリー
ディセンディングトライアングルを使ってトレードをする際、トレーダーは下降トレンドを見極めなくてはならず、これは下のEUR/USDのチャートで見ることができます。その後ローソク足が保ち合いになり始めると、ディセンディングトライアングルが現れます。トライアングルが形成されれば、ブレイクアウトを予想してトライアングルの測定テクニックを適用することができます。
サポートラインを突破する強いブレイクアウトが起きた後、ショートポジションをエントリーすることができます。その際、直近の高値にストップを置き、テイクプロフィット(利益確定の決済指値)目標を測定テクニックに沿って設定します。

ディセンディングトライアングルの利点と欠点
ディセンディングトライアングルパターンはトレンド継続の優れた指標ですが、欠点もあります。
利点 | 欠点 |
---|---|
パターンを見つけやすい。 | ダマシのブレイクアウトがあり得る(トレーダーはリスクを管理する必要がある)。 |
ディセンディングトライアングルの最大の高さにもとづく、明確な目標価格を生成する。 | 価格は長期にわたり横ばいを続ける可能性があり、上昇する可能性さえ常にある。 |
中期的なパターンであるため、トレーダーにはトライアングル内でトレードする選択肢もあるが、常にトレンドの方向のトレードを選ぶべきである。 |
ディセンディングトライアングルを狙うときの注意点
ディセンディングトライアングルは有効なチャートパターンですが、トレードをする際には注意点もあります。チャートパターンをしっかりと識別することはもちろん、その他の主な注意点も抑え、大きな損失を出さないように心がけましょう。
上抜けしたら損切りを
ディセンディングトライアングルは高値を切り下げていることから売り圧力が強く、下落しやすい傾向にありますが、必ずしもサポートラインを下抜けるとは限りません。要するに、サポートラインを下抜けせず、逆にレジスタンスラインを上抜けてしまうことがあるのです。
例えば、売りポジションを保有している時にディセンディングトライアングルを上抜けした場合は、下降しやすいという傾向が崩れてしまうため、素早く損切りをすることが重要になります。また、一度サポートラインを下抜けてから逆行し、レジスタンスライン(サポートラインから転換)または直近の高値を上抜けてしまった際も同じく損切りをしましょう。
ディセンディングトライアングルを上抜けてしまった場合は、特に上昇トレンドに転換してしまう可能性が高くなるため、素早く損切りしてください。
だましには注意
ディセンディングトライアングルも他の指標と同じく、だましが発生してしまうことがあります。つまり、だましを回避するように気を付けることが大切になるのです。
だましを回避する方法は主に2つあります。まずは前述した通り、サポートラインを下にブレイクしてすぐにエントリーするのではなく、リターン・ムーブを待つことで、だましを減らして勝率アップを狙うことが可能です。
加えて、明確にディセンディングトライアングルを形成した場合のみエントリーをするのもよいでしょう。一見ディセンディングトライアングルに見えても、よく見ると条件を満たしておらず、ただのレンジ相場だったということはよくあります。安値が同じで高値が切り下がるという原則に気を付けると、ディセンディングトライアングルを正しく識別しやすくなります。
だましに注意するとどうしてもエントリーチャンスが少なくなりますが、慣れないうちは特にだましに注意し、リスクを抑えるようにするとよいでしょう。
まとめ
チャート上にあるディセンディングトライアングルを識別することにより、順張りで大きな利益を狙うことができます。FXで大きな利益を狙いたい方は、ぜひディセンディングトライアングルを使ったトレードをマスターしてください。
もちろん、だましが発生することもあるため油断は禁物ですが、だましを回避する方法を理解すれば、リスクを軽減することができます。ディセンディングトライアングルのチャートパターンや使用方法を理解し、トレードで活用して利益を出せるようになりましょう。
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