※2023年9月15日16時08分更新
FOMC控えたドルの現状- トーキングポイント
- FOMC会合を前に、ドルの短期上昇トレンドは維持されている
- FRBは来週、金利を据え置く可能性が高い
- 特に注目されるのはFOMC参加者の経済見通し（SEP）
- FOMC会合に対するドルの反応とは？
CMEグループによるフェドウォッチによると、米連邦準備制度理事会（FRB）は来週9月19、20日の米連邦公開市場委員会（FOMC）会合でフェデラルファンド（FF）金利を据え置くとの見方が大勢を占めている。先月の米消費者物価指数（CPI）総合指数は上昇したとはいえ、コアインフレ率の伸びは緩やかになっており、また労働市場は減速の兆しを見せ、住宅市場は安定していることから、利上げは見送られるとの見方が強まっている。
一方、パウエルFRB議長は、目先の政策方針は経済指標の動向次第として、バランスの取れた見解を示す可能性が高い。パウエル議長が発信するメッセージは、先月のジャクソンホール会議での発言と似ているものとなるかもしれない。ジャクソンホール会議で議長は、インフレが依然として高水準にあり、予想以上のスピードで上昇する場合は、さらなる引き締めの可能性もある、と言及した。
市場のより大きな関心事は、FRBが利上げサイクルを終了するかどうかだ。最近のマクロ経済指標が力強い内容となっているため、米国経済が再び拡大し、物価上昇圧力が再び強まるリスクが高まっている。従って、9月の金利決定はすでに決定事項かもしれないが、11月の会合で利上げサイクルが終了するかどうかが決まる可能性がある。この点で、11月1日開催のFOMC会合前に発表される来月の米雇用統計と米CPIがカギとなる。
来週の注目点は、9月のFOMC声明とともに発表されるFOMC参加者の経済見通し（SEP）だ。特に、2023年の政策金利見通し（中央値）は、6月時点の予想同様、5.50－5.75%に到達するまであと25ベーシスポイント（bp）引き上げる可能性を示すかもしれない。2024年の政策金利見通し（中央値）が6月時点の4.6%から引き上げられるかどうかにも大きな関心が集まるだろう。
市場の観点からは、SEPが相場を動かす重要な材料となる可能性がある。中央値の上昇幅が25bpだとしても、現在のハト派的な2024年政策金利見通しとは約50bpの開きがある。25bp以上であれば、かなりタカ派的と受け止められ、来年のハト派的な見通しを見直すきっかけとなり、ドルは全体的に押し上げられるだろう。一方、2024年の政策金利見通しの中央値が据え置かれた場合は、ドルの上昇は一服するかもしれない。しかし、米国経済が他国経済を上回っている間は、ドルの後退は一時的なものになる可能性がある。
ドル指数 4時間足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
前回のレポートで指摘したように、テクニカルチャートでドル指数は、短期的に上昇の勢いが続いている状態だ。9月5日付レポート「米ドル見通し – 対ユーロ/英ポンド/加ドル：レジスタンスで苦戦、米経済指標の軟化響く」をご参照ください。7月から続く高値圏での高値・安値の切り上げパターンは、日足チャート上の2つの重要なレジスタンス水準の上方ブレイクも相まって、短期上昇トレンドを強めている。
ドル指数 日足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
ドル指数は現在、3月の高値106.00付近の堅いレジスタンスを試している。ただ、日足チャート上のモメンタムは、指数が上昇しても平坦化しており、上昇の勢いに衰えが見え始めていることを示唆している。下降局面では、102.50－103.00を下方ブレイクした場合のみ、ドル指数がピークアウトした可能性が高まる。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。
新たなレポートの配信等はtwitterアカウント @DailyFXJapan で確認できます。
