※2023年8月15日15時13分更新
金、金/ドル、ドル、中国、人民元、米国債利回り、ドル指数、GVZ指数 - トーキングポイント
- 米国債利回りの上昇がドルを押し上げる中、金相場への逆風は続く
- 中国景気の先行き不透明感から中国人民銀は政策を調整
- ボラティリティは依然として低水準だが、わずかに上昇。ここからさらに上昇すると、金/ドルの見通しはどう変化する?



米国債利回りの上昇に支えられ、ドルが高値を追う中、金先物相場は15日も低迷し続けている。
金属は全般的に弱含みで、ドル高と、リスク資産や景気動向を反映しやすい資産に対する投資意欲の低下が弊害となっている。
工業用金属は金よりも大きな打撃を受けており、中国の先行き景気を見極めようとする姿勢が強まっている。
先週、中国の経済指標が全般的に低調だったことに加え、中国の不動産大手である碧桂園(カントリー・ガーデン)とオーシャン・シノが社債の利子を期日通りに支払えていないことが響いたようだ。
市場は、経済の不確実性に対処するため中国政府が具体的な行動を取るのを待っている。
世界第2位の経済大国である中国の経済状況を見極める手がかりとして、中国の各種データが注目されよう。詳細はこちらをご覧ください。
中国人民銀行(PBOC、中央銀行)はきょう、人民元を1米ドル=7.1768と強めに固定した。また、中期貸出制度(MLF)金利を2.65%から2.50%に引き下げた。
その一方で、長期金利の指標となる10年債利回りは、1カ月前には3.73%まで下落したが、現在は昨年11月以来の4.20%超えとなっている。
米国債の利回り曲線は、米連邦準備制度理事会(FRB)による引き締めサイクルは終わりに近づいているという市場の見方を反映するように、より安定してきたように見える。
米2年債利回りは5.0%に近づいているが、先月の高値水準である5.11%まではまだ距離がある。
これがドル指数を下支えしているようだ。同時に、金のボラティリティはこのところ低迷していたが、ここ数日でわずかながら上昇している。これは市場内の不確実性を示唆しており、価格が大きく動く可能性がある。
GVZ指数は金のボラティリティを予測する指標で、S&P 500種株価指数のボラティリティを測るVIX指数と同様の方法で算出される。
今後の動きについては、貴金属は現状を考えればそれなりに持ち堪えるだろうが、こうした逆風が続けば、さらに弱体化する可能性も否定できない。
金スポット価格 vs 米10年債利回り、ドル指数、GVZ指数
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。