※2023年11月24日9時37分更新
米国のトレーダーがスクリーンから離れる中、感謝祭祝日(ロンドン時間23日)の金先物相場は狭いレンジ内で取引されている。イスラエル・ハマス戦闘が一時休戦する中、金相場は下がるのか?
金相場 (XAU/USD)の分析
- 感謝祭休暇の今週末は、薄商いの中、金相場は下振れする見込み
- 金/ドルはガザ休戦で安全資産としての魅力が試されており、2,000ドルを上回る水準での取引に慎重な投資家が多いように見受けられる
- 来年利下げに転じるとの見方が後退する中、ドルと米国債利回りが引き続き金相場を動かす要因となっている
- このレポートは、チャートパターンと主要なサポート/レジスタンスを使用して分析しています。テクニカル分析に関するより詳細な内容については、当社の学習コンテンツをご覧ください
感謝祭休暇の今週末、金相場は下振れする見込み
23日(ロンドン時間)の金先物相場は取引開始早々に上昇したが、感謝祭休暇の今週末は薄商いとなることが予想されているため、その勢いは続かなかった。公平にみて、金相場は必要条件が揃ったようにみえる局面でも2,000ドルのレベルをなかなか超えられずにいる。これまで2度、2,010ドルに接近したが、いずれもすぐに下降に向かった。
22日は、18日までの1週間の米新規失業保険申請件数が6月以来の大幅減となったため、ドルがやや上昇し、それが金先物相場の重しとなった。この数値は、過去3週間、米国のファンダメンタルズ・データ(経済指標)が弱いものであったにもかかわらず、労働市場が堅調であることを示唆している。金相場にとって次の大きな関心事は、イスラエルとハマスの間で人質と捕虜を巡る交渉が最近、合意に至ったことである。この合意は、10月7日のハマスによる大規模な奇襲攻撃以来、最も重要な外交の成果であるが、さらなる合意や、最も被害を受けた地域への援助促進に向けた重要な動きとなるかどうかは、時間が経たなければわからない。
レジスタンスは2,010ドルにあり、その近辺のサポートとしては1,985ドル、その下には200日単純移動平均線(SMA)、1,937ドルが控えている。
金相場 (XAU/USD) 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
週足チャートを見ると、2,010ドルの水準を上回ることが最近難しくなっていることが浮き彫りになっているが、依然として強気トレンドが維持されていることが分かる。しかし、直近でスイングローが形成され、高値を更新できずにいるうえ、RSI(相対力指数)が下降に向かっており、調整局面が到来する可能性が示唆されている。
金相場 (XAU/USD) 週足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
2024年の利下げ観測後退後も、ドルと米国債利回りの動きが引き続き鍵に
10月の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことを受け、ドル指数と米国債利回りが低下し、来年の利下げ時期と利下げ幅に関する多くの憶測を呼んだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の最近の利上げ予想幅は50ベーシスポイント(bp)であるにもかかわらず、最盛期に市場の来年における利上げ幅予想は100bpに達していた。今週発表された米労働市場のデータが予想より強かったため、市場は現在、25bpの利下げを予想しており、来年末までの利下げ幅は85bpとみている。ドルや利回りの上昇は、無利息である貴金属を保有する機会費用につながるため、金相場はドルや米国債利回りと逆相関の関係を示す傾向がある。
資料:Refinitiv、チャート作成:リチャード・スノー
--- DailyFX.com リチャード・スノー著
スノー氏に連絡するには、Xで @RichardSnowFX までお願いいたします。
新たなレポートの配信等はXアカウント @DailyFXJapan で確認できます。