※2023年12月25日14時13分更新
このレポートでは、ユーロ/ドル、ドル/円、英ポンド/ドルのテクニカル分析見通しに焦点を当て、2023年最後の取引週で注視すべき重要な価格帯を分析する。
ドル見通し - ユーロ/ドル、ドル/円、英ポンド/ドル
- 先週のドルは7月以来の安値水準に沈み、ドル指数は101.70で取引を終えた
- 今後1週間は大きな経済イベントは予定されていないが、薄商いのなか、相場が大きく振れる可能性には注意が必要だ
- このレポートでは、ユーロ/ドル、ドル/円、英ポンド/ドルのテクニカル分析見通しに焦点を当て、2023年最後の取引週で注視すべき重要な価格帯を分析する
ドル指数(DXY)で測定されるドル相場は先週、2週連続で下落し、クリスマスの祝祭と2023年最後の取引週を前に、出来高の少ない環境の中、7月下旬以来の安値(101.70)で取引を終えた。
最近の下落が響き、ドル指数は10-12月期(第4四半期)に約4.21%、12月には約1.75%下落している。米国債利回りが昨年10月の高水準から大きく下げており、これがドルに下落圧力をかけている。
米連邦準備制度理事会(FRB)の方向転換は現在進行中の市場トレンドを強め、米国債利回りの低下とドル安をさらに押し進めた。米連邦公開市場委員会(FOMC)は前回の会合でハト派的な姿勢を示した(12月15日付レポート「ドル/円の下値模索続く:FOMC後は全面安のドル、ユーロ/ドル見通しとは」参照)。利下げの協議を開始したことを認め、2024年に75ベーシスポイントの緩和を示唆したという経緯がある。
下図は、ここ2カ月ほどの米国債利回りの推移を示しており、低下へのシフトが顕著なことがわかる。
低下に転じた米国債利回り
資料:TradingView
2023年最終週に目を向けると、現在のトレンドを大きく変えるようなインパクトのある経済指標やイベントは予定されていない。このため、ドル安や米国債利回りの低下など、最近の動きがレンジ内で続く可能性がある。とはいえ、影響力の大きいイベントが予定されていないからといって、ボラティリティが低く、市場が安定的に動く保証はない。
年末年始の特徴である流動性の低下は、時に価格を大きく動かすことがある。一見、日常的な取引や適度な規模の取引に見えるが、売買注文を吸収するトレーダーがデスクにほとんどいないため、需給の微妙なバランスを崩すことがあるからだ。したがって、慎重を期すことを強くお勧めする。
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ユーロ/ドル テクニカル分析
最近の上昇を受け、ユーロ/ドルは現在、1.1000―1.1025間の極めて重要なレジスタンスゾーンに直面している。この天井を今後数日のうちに決定的に上抜けると、1.1085へ向けて上昇する可能性がある。さらなる上昇局面では、9月以来の上昇チャネルの上限に相当する1.1140に焦点が移る。
一方、買い手による上値追いが失敗し、現在の水準から下降に転じた場合は、200日単純移動平均線付近の1.0830が最初のサポートとなる。価格は、このエリアで底入れしてから反発する可能性が高いが、下抜けた場合は、1.0770に向けて下落する可能性がある。
ユーロ/ドル テクニカルチャート
資料:TradingView
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ドル/円 テクニカル分析
ドル/円は先週金曜に上昇したものの、200日単純移動平均線(SMA)を回復することはできなかった。今後数日間、この平均線を下回るようであれば、売り圧力が勢いを増し、最終的に12月の安値140.95に向けて下落する可能性がある。この下値は何としても守らなければならず、守れないと139.50に位置するトレンドライン(サポート)に向かって下降する可能性が出てくる。
逆に、買い手が優勢になり、ドル/円が200日SMAを突破した場合は、144.80に位置するレジスタンスが意識される。この難関を突破することは強気派にとって難しいが、ブレイクアウトに成功すれば、146.00に向けて上昇する条件が整いそうだ。引き続き強気が維持されれば、147.20を目指して勢いを強める可能性がある。
ドル/円 テクニカルチャート
資料:TradingView
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変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 12% | -1% | 4% |
週次 | -25% | 30% | -2% |
英ポンド/ドル テクニカル分析
英ポンド/ドルは、先週末に向けて上昇したが、重要なフィボナッチレベル、2023年の高値を始点とする下降トレンドラインが重なる収束レジスタンス1.2727―1.2769付近に直面している。強気のモメンタムを勢いづけるには、このテクニカルの壁を突破する必要がある。ブレイクアウトに成功すれば、1.2800、次いで1.3000に向かって上昇する可能性が高い。
一方、売り勢が戻り、弱気に反転を開始した場合、1.2600近辺に位置するトレンドラインがサポートとして意識されよう。このエリアは、反落の際、下値を維持するかもしれないが、これを下回ると、1.2500の少し上に位置する200日単純移動平均線を再び試す可能性がある。さらなる下落局面では、1.2455に注意が向けられよう。
英ポンド/ドル テクニカルチャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著
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