※2023年12月15日11時35分更新
ドル/円は下値模索の展開が続いている。このレポートでは、ドル/円、ユーロ/ドルのテクニカル分析見通しに焦点を当てる。最近の相場変動を受け、サポートやレジスタンスとして機能する重要な価格水準がどうなっているかを検証していく。
ドル相場見通し
- 14日のドル相場は、米国債利回りの低下に引きずられ、下げ幅を拡大
- FRBのトーン変化により、金利見通しはハト派方向に見直されている
- 本レポートでは、ユーロ/ドルとドル/円のテクニカル分析見通しを検証する
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ドル相場の傾向を示すドル指数は14日、102.00を割り込んで下げ幅を拡大し、8月上旬以来の安値を付けた。この一段の下落は、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で米連邦準備制度理事会(FRB)がハト派的な姿勢を示したことが引き金となり、米国債利回りが急低下したことが影響している。異なる結果を予想していた投資家は完全に面を食らったようだ。
背景を説明すると、FOMCは13日、今年最後の金融政策の決定を発表した。FRBは政策金利を22年ぶりの高水準に据え置いたが、パウエルFRB議長が利下げについての議論が始まったことを認めるなど、FRBの政策転換が近づいていることが示唆された。
FRBの経済見通しもかなりハト派トーンが強まり、FOMCメンバーが将来の政策金利を予想する金利予測分布図(通称ドットプロット)では2024年に75ベーシスポイント(bp)、2025年に100bpの利下げ実施が予想され、9月時点よりも利下げ幅が拡大した。このような背景から、下図の通り、利回りは数日のうちに急低下し、ドル相場の弱気な地合いの醸成につながっている。
米国債利回りの推移
資料:TradingView
ドルが大きく下落する中、ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)がFOMCと比較して相対的にハト派色がより薄いことも後押しとなり、1.1000に向かって反発している。英ポンド/ドルも急上昇し、約4カ月ぶりの高水準に達している。一方、ドル/円は200日単純移動平均線を割り込み、弱気シグナルが点灯している。
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ユーロ/ドル テクニカル分析
ユーロ/ドルは、14日に上げ幅を拡大し、重要なフィボナッチ水準の上限を上抜け、1.1015付近の収束レジスタンスに向かって上昇している。強気の勢いを背景に、ユーロ/ドルは間もなくこの壁を突破し、1.1090へ向けてさらに高値追いの展開に発展するかもしれない。この勢いがさらに力を増せば、7月の高値を再び試す可能性も排除できない。
逆に、上昇の勢いが弱まり、価格が下降に転じた場合は、200日単純移動平均線が位置する1.0830付近が最初のサポートゾーンとなろう。価格が上昇を再開するまで、反落でたどり着いたこの水準付近でしばらく小動きとなる可能性がある。しかし、この水準を割り込む下方ブレイクが確立された場合は、1.0765に向けて下落することになりそうだ。
ユーロ/ドル テクニカルチャート
資料:TradingView
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変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 19% | -6% | 2% |
週次 | -14% | 10% | 0% |
ドル/円 テクニカル分析
14日のニューヨーク外国為替市場でドル/円は下落し、200日単純移動平均線を割り込んだ。一時は7月下旬以来の安値である140.70付近まで下落する場面もあった。このテクニカルレベルを何としても維持しなければならない。維持できなければ、弱気派は139.75にあるトレンドライン(サポート)めがけて攻勢を強める可能性がある。さらに弱気な傾向が強まれば、137.50を目指す動きもあり得る。
一方、ドル/円が予想外に反発を再開した場合は、当面のレジスタンスは142.45と144.60となる。買い手にとって、144.60のしきい値を超えて価格を押し上げることは簡単ではないだろうが、これを突破すると、146.00に向けて上昇するきっかけとなろう。上昇の勢いが続けば、147.20が視野に入る。
ドル/円 テクニカルチャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著
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