※2023年9月14日17時20分更新
豪ドル/米ドル、豪雇用統計 - トーキングポイント
- 豪ドル/米ドルは、豪雇用統計が予想を上回った後、上昇した
- 豪ドル/米ドルは、当面の底固めを試している
- 豪ドルの投機的なショートポジションは、2022年初頭以来の高水準
- 豪ドル/米ドルの見通しと注目すべき重要な水準とは？
14日アジア時間の外国為替市場でオーストラリアドルは対米ドルで上昇した。8月のオーストラリアの雇用統計で予想を上回る雇用を創出したことが分かり、豪ドルを買う動きが広がった。
8月の豪雇用者数は6万4,900人増加し、予想（2万3,000人増）を大きく上回ったうえ、雇用者数が減少した7月からは大幅な改善となった。失業率は予想通り3.7％と横ばいで、50年来の低水準にとどまった。ただ、雇用者数の増加は、パートタイム雇用の拡大（6万2,100人）によるところが大きく、豪ドル/米ドルをわずかに後退させた。フルタイム雇用者数は2,800人増加し、7月（2万4,200人減）からは大きく改善した。
豪ドル/米ドル 5分足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
オーストラリアの雇用市場は減速する兆しを見せており、追加引き締めの必要性は低下している。国内総生産（GDP）、サービス部門購買担当者景気指数（PMI）など、最近の豪州の経済指標は前回数値を上回る好結果だった。しかし、オーストラリアのエコノミックサプライズ指数は、経済指標の結果が全般的に不十分であることを示唆している。水曜発表の豪雇用統計は、オーストラリア準備銀行（RBA、中央銀行）が来月も政策金利を据え置くという大方の予想を変えるほどの影響力はほとんどなかった。市場は、11月に利上げが実施される可能性がほんの少しある程度と見ている。
米国のインフレ基調が緩やかペースながら、引き続き低下傾向にある中、米連邦準備制度理事会（FRB）の利上げ観測は、11月にもう1回の利上げを実施（約40％の確率）し、2024年半ばからFRBは利下げに動くというのが大勢を占めている。8月の米消費者物価指数（CPI）は前年同月比3.7%上昇と、予想（3.6%上昇）、7月（3.2%上昇）をともに上回った。しかし、コアインフレ率は前月の4.7%から4.3%に低下した。
豪ドル/米ドル 4時間足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
豪米両国の金利見通しは年末まで同程度だが、米国経済が他国経済より成長しているため、米ドルが全般的に上昇している。対照的に、オーストラリア経済の見通しは、最大の輸出先である中国からの需要見通し次第という面があり、昨年から悪化の一途をたどっている。中国政府はここ数週間、景気下振れリスクを緩和するため、支援策や景気刺激策を相次いで発表しているが、こうした措置はまだ景気見通しの改善には結びついていない。
豪ドル/米ドル 週足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
一方、テクニカルチャートでは、投機的な豪ドルショートのポジションが2022年初頭以来の高水準にあるため、豪ドル/米ドルは売られ過ぎのように見える。価格はここ数週間、3月以降の下降チャネルの下端が位置する0.6350付近でもみ合っているが、これは当面の底固めを試していることを示唆している。14週RSI（相対力指数）は、2023年上半期に2度、反発を示した40レベル近辺にある。
今週初めに0.6400を上回ったことは、強気派にとっては心強いシグナルである。8月末の高値0.6525を上方ブレイクすれば、小型のダブルボトム（8月と9月の安値で形成）が示現するきっかけとなり、0.6700に向け上昇する可能性が開かれる。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。
新たなレポートの配信等はtwitterアカウント @DailyFXJapan で確認できます。
