
主要な経済指標は、FXを劇的に動かす可能性があります。トレードを始めたばかりトレーダーのほとんどは、FXのニュースを活用したトレード方法を学ぶ際に、まさにこの動き、つまりボラティリティを求めています。本記事では、主なニュース発表とその発表時期を取り上げ、ニュースを活用したトレードの様々な方法を紹介します。
経済指標などのニュースを活用してFXでトレードをする理由
トレーダーがニュースを活用したFXのトレードに惹かれる理由はいろいろありますが、最も大きいのはボラティリティです。簡単に言えば、ニュースにはFXを動かす力があるからです。「ニュース」とは、GDPやインフレ率といった経済指標の発表を指します。トレーダーは、こうした「重要性が高い」とされる発表をモニターする傾向にあります。
データに「サプライズ」がある場合、つまり実際のデータがマーケットの予想値と違った時に、マーケットは最も大きく動きます。当社の経済指標カレンダーでは事前にエコノミストの予想を示しているので、経済学の高度な知識は必要ありません。
また、ニュース発表はあらかじめ発表日時が決まっているため、十分な時間をかけてしっかりと戦略を立てることができます。
ニュース発表の時点でボラティリティのリスクを上手に管理できるトレーダーは、一貫した管理に基づいたトレードができるようになるでしょう。



主要な経済指標などのニュース発表がFXのトレードに与える影響
主要なニュース発表直前には、一般的に取引高の減少、流動性の低下、スプレッドの拡大などが見られ、そのために価格が大きく跳ね上がることがよくあります。 これは、個人投資家同様、大規模なリクイディティプロバイダーでも事前に発表内容が分からないため、スプレッドを広げてリスクの一部を相殺しようとするためです。
大きな値動きはトレードをエキサイティングなものにしますが、リスクをともなうこともあります。流動性の不足のため、値動きが不規則になる可能性があります。このような不規則な価格は、瞬く間にストップロスを引き起こすような価格の急騰を招き、スリッページが発生する場合があるのです。
また、スプレッドが広くなるということは、これに対応できるだけの十分な証拠金がないとマージンコールを受ける可能性があります。このようなニュース発表を取り巻く現実があるために、ストップロスやストップロス保証(利用可能な場合)を組み込むなど慎重な資金管理をしてトレードをおこなわなければ、短期間でFXトレーダーの道を断念せざるをえなくなってしまいます。
一般的に、主要通貨ペアのスプレッドは、取引高の少ない新興国通貨やマイナーな通貨ペアよりも狭くなります。したがって、主要通貨ペアであるEUR/USD 、USD/JPY 、GBP/USD、 AUD/USD 、 USD/CADなどのトレードがよいでしょう。

事前に十分に準備して、どのようなニュースを活用し、いつトレードしたいのかを明確しておく必要があります。また、しっかりとしたトレードプランを立てることも重要です。
「マーケットがどう動くかを考えることはやめなさい。コントロールすることなどできないのだから。マーケットが動いたときにどうするかを考えるのです。特に、理想的なマーケット、そのバラ色のシナリオについて長々と考えるべきではありません。そのような状況では、それ以上何もできることはないからです。そうではなく、一番起きてほしくないことに注目して、どう対応するかを考えるべきなのです。」– ウィリアム・エックハート
どの経済指標の発表でFXをトレードするべきか
ニュースを活用したトレード方法を学ぶには、FXに影響を与える主要な経済指標を把握することが必須です。これは、経済指標カレンダーを使えば確認できます。
米国の経済指標は、世界の為替市場に大きな影響を与えるため、一般的に最も重要なニュースとされています。ただし、すべてのニュースでボラティリティが高まるわけではありません。むしろ、過去に市場を大きく動かしたニュース発表は限られています。
次の表に、主な米国の経済指標の発表と、米国以外の世界各国のデータのうち最も重要なものをまとめました。
主要なニュース発表(米国および世界各国)
経済指標 | 発表時間(米東部標準時) | 内容 |
---|---|---|
米国非農業部門雇用者数(NFP) | 午前8:30 – 毎月発表(第1金曜日) | 雇用者数の純増減を示す指標 |
米国国内総生産(GDP) | 午前8:30 - 四半期ごとに発表 | 一定期間に米国内で生産されたすべての財・サービスの金額を測定したもの |
米国連邦準備銀行フェデラルファンド(FF)金利 | 午後1時 - 年8回の予定 | 金融機関が互いに翌日まで貸し借りする際の オーバーナイト金利 |
オーストラリアのキャッシュレート(政策金利) | 午後10:30 - 1月を除く第1火曜日 | 金融仲介業者間のオーバーナイトローンの金利 |
オーストラリア雇用変化 | 午後7:30 - 毎月発表(月末から15日前後) | 前月の就業者数の変化 |
欧州中央銀行リファイナンス金利 | 午前7:45 - 年8回 | 金融システムに流動性を提供する主要なリ ファイナンス・オペレーションの金利 |
イングランド銀行オフィシャル・バンクレート(政策金利) | 午前7:00 - 年8回 | イングランド銀行(BOE)が金融機関に貸し出すオーバーナイト金利 |
カナダ銀行オーバーナイト金利 | 午前10:00 - 年8回 | 主要金融機関が相互に貸し借りする際のオーバーナイト金利 |
カナダ雇用変化 | 午前8:30 - 毎月発表(月末から8日前後) | 主要金融機関が相互に貸し借りする際のオーバーナイト金利 |
ニュージーランド準備銀行オフィシャル・キャッシュレート(政策金利) | 午後9:00 - 年7回の予定 | 銀行間の貸し借りの際のオーバーナイト金利 |
経済指標などのニュースを活用してFXでトレードするためのツールと情報
DailyFXでは、FX関連のデータやニュース発表を総合的に提供しています。
- 経済指標カレンダー:米国の非農業部門雇用者数、GDP、ISM製造業景況感指数、PPI(生産者物価指数)、CPI(消費者物価指数)など主要データの発表予定日が分かります。
- 中央銀行カレンダー:中央銀行の金利決定は、金融市場に大きな影響を与えます。その発表予定日を確認できます。
- リアルタイムのニュースフィード:トップアナリストによる最新情報を含めたニュース速報をいち早くお届けします。またマーケットニュースでは、その日のすべての主要な記事と分析をご覧になれます。
経済指標などのニュースを活用してFXでトレードする際のリスク管理
ニュース発表後のボラティリティの高い期間は、慎重なリスク管理が特に求められます。
ストップの設定を強く推奨しますが、この場合は通常のストップよりもストップ保証(利用可能な場合)を設定するとよいでしょう。ストップ保証には料金がかかるため必ずブローカーに確認する必要がありますが、ほとんどの場合、この手数料はボラティリティの高い時期に発生の可能性があるスリッページの量に比べれば、大した金額ではありません。
また、通常のポジションサイズを小さくすることも検討するべきでしょう。変動の激しいマーケットはトレーダーの最良の味方であると同時に、リスク管理がないままだと口座の資金を大幅に減らす可能性があります。そのため、ストップ保証を設定するほか、ポジションサイズを抑えてトレード時の感情をコントロールするようにしましょう。
経済指標などのニュースを活用したFXの3つのトレード方法
FX関連のニュースを活用したトレード戦略の策定では、タイミングによっていくつかのトレード方法があります。
経済指標カレンダーを使って事前に計画を立て、ニュース発表時にその場で判断してトレードするトレーターが多く見られます。また、発表前のボラティリティの低い状況でマーケットにエントリーするトレーダーもいます。整理すると、FX関連ニュースを活用したトレードは次のいずれかに当てはまります。
- ニュース発表前のトレード
- ニュース発表時のトレード
- ニュース発表後のトレード
1. ニュース発表前のトレード
ニュース発表前のトレードは、ボラティリティの低い状況でマーケットにエントリーしたい場合にメリットがあります。一般的にリスクを避ける傾向のあるトレーダーは、ニュース発表前の静かな時間帯を利用して、レンジ取引や単純にトレンドに沿ったトレードをするため、この方法を取ります。詳しい戦略は、ニュース発表前のトレード方法をご覧ください。
2. ニュース発表時のトレード
ニュース発表前のトレードは、ボラティリティの低い状況でマーケットにエントリーしたい場合にメリットがあります。一般的にリスクを避ける傾向のあるトレーダーは、ニュース発表前の静かな時間帯を利用して、レンジ取引や単純にトレンドに沿ったトレードをするため、この方法を取ります。詳しい戦略は、ニュース発表前のトレード方法をご覧ください。
3. ニュース発表後のトレード
ニュース発表後のトレードでは、マーケットがニュースを消化した後にトレードを開始します。 往々にして、プライスアクションによりマーケットの今後の方向性について手がかりが示されるため、トレーダーには大きなチャンスとなります。 マーケットが変化している時のニュースを活用したトレード方法については、ニュース発表後のトレードをご覧ください。



経済指標などのニュース発表を活用したFXのトレードで覚えておきたい3つのこと
- 準備が重要:ニュースが発表されても、画面上で目まぐるしく点滅する買値や売値に誘われていきなりトレードをしてはいけません。次の大きなニュース発表に間に合うように、いったん画面を離れて評価をし直し、戦略を練るくらいの自制心を持ちましょう。
- スプレッドの拡大:大きなニュースが発表されると、スプレッドが広がるのはごく普通のことです。多額の証拠金が必要となるスプレッドの一時的な拡大を吸収するため、十分な証拠金を確保しましょう。
- ボラティリティ: 為替市場のボラティリティは、ニュースを活用したトレードの際に考慮すべき大切な要素です。ポジションサイズの縮小を検討し、予想されるボラティリティを考慮して、十分な深さのストップにする必要があります。同時にストップ以上の損失を防ぐ必要があります。
経済指標などのニュースを活用したFXのトレードに関するよくある質問(FAQ)
重要性の高いニュース発表は、既存のトレードにどのような影響を与えますか?
これは、トレードしている通貨ペアと、実際に発表されたデータや数値によって違います。データは直接に関係する通貨に影響を与えます。例えば、欧州中央銀行(ECB)の金利の変更は、保有しているユーロクロスの通貨ペアに影響します。
ただし、通貨はペアでトレードされるため、相手の通貨の強さと弱さを意識することが大切です。発表されたデータが予測に反する場合は、マーケットに最大の影響を与えることが多く、良くも悪くも新規注文に最も影響を与えます。
スイングトレードをしている場合は、ニュース発表の前に、マーケットが自分の設定したストップやリミットにどれだけ近づいているか確認しておくとよいでしょう。マーケットが設定した価格に近づいている場合は、その時点でトレードを終了するのが最善です。価格がターゲットに近い時は、わずかな利益のために大きなリスクを冒さないほうが賢明です。価格がストップに近い時は、スリッページのために損失が膨らむ可能性が出てくる前に損切りをしたほうがよいでしょう。