下降ウェッジパターン(ディセンディングウェッジとも呼ばれる)は、将来の強気のモメンタムを示唆する、有用なパターンです。本稿では、FXと金の例を使用して下降ウェッジをトレードするテクニカルアプローチを紹介し、このパターンのトレードをおこなう時の留意点について説明します。
下降ウェッジとは?
下降ウェッジパターンは、2本の下向きの傾斜を持つ、収束していくトレンドラインの間を価格が行き来する時に形成されるコンティニュエーション(継続)パターンです。これは上昇チャートパターンと考えられていますが、トレンド内のどこに現れるかによって、反転を示唆する場合と継続を示唆する場合の両方があります。

上昇ウェッジパターン
上昇ウェッジパターンは下降ウェッジパターンの反対で、下降トレンドで見られます。トレーダーはこれらを見極め効果的にトレードするために上昇ウェッジと下降ウェッジの区別をする必要があります。
下降ウェッジパターンを見つける方法:上抜けに注目
下降ウェッジは強気の継続と、強気の反転の両方に解釈可能なため、見極めにあたって混乱を生じることがあります。それぞれのシナリオに関連する相場の状態は異なり、それらを考慮に入れないとなりません。
継続と反転の違いは、下降ウェッジが現れた場所のトレンドの方向です。下降ウェッジは、上昇トレンドに出現すればコンティニュエーション(継続)パターン、下降トレンドに出現すれば反転パターンとなります。
コンティニュエーション(または反転)パターン:
- 上昇トレンド(または下降トレンド)を見極めます。
- トレンドラインを使って、高値切り下げの各点と安値切り下げの各点をそれぞれつなぎます。2つの線は緩やかな下方向への傾斜を描き収束します。
- 価格とRSIまたはストキャスティクスなどのオシレーターのダイバージェンス(乖離)を探してください。
- オシレーターなどの他のテクニカルツールを使用して売られ過ぎのシグナルを確認することができます。
- レジスタンスラインを超えるブレイクアウトを探してロングでエントリーします。
下降ウェッジの上抜けを使用してトレードする2つの手法
テクニカル分析を使用して下降ウェッジを使ってトレードするさまざまな方法を解説します。
1) 下降ウェッジのコンティニュエーションパターン
下降ウェッジは、上昇トレンドで価格が調整局面(保ち合い、もみ合い期間)に入った時、または横這いとなった時に現れます。高値切り下げと安値切り下げをそれぞれ線でつなぐと、やや下向きに傾斜したウェッジパターンが現れます。その後下降ウェッジの価格は上昇し、より大きな上昇トレンドを再開するブレイクアウトとなります。
下の金のチャートでは、下降ウェッジから価格が上方にブレイクアウトし、その後下降して元のウェッジに戻っています。これは偽のブレイクアウト、あるいは「ダマシ」で、金融マーケットにおいてよくあることです。このダマシのシナリオは、正しい位置にストップを置くことの重要性を強調します。トレードが手仕舞いになってしまう前に若干の余裕を用意するのです。トレーダーはウェッジ内の最安値またはウェッジ本体より下にもストップを置くことができます。
ストップロスを十分な距離を空けて設定することにより、相場が最終的にレジスタンスラインを正しく(ダマシではなく)ブレイクアウトし、長期の上昇トレンドを再開するまで待つことが可能となります。
目標価格を設定するための測定テクニック
下降ウェッジの起点を見つけ、サポートラインとレジスタンスラインの垂直の距離を測定します。その後、ブレイクアウトが起きた後でのみ、現在の価格から上方にその距離を持つ線を重ね合わせます。その線の上端が目標となります。

2) 下降ウェッジの反転パターン
下降ウェッジのテクニカル分析を利用して、相場の反転を見つけることができます。下のUSD/CHFのチャートは、その例を示しています。相場は安値を切り下げ続け、下降する軌跡を描いています。その後プライスアクションは横這いとなり、調整(保ち合い、もみ合い)パターンとなってから鋭く上向きに反転します。
高値切り下げと安値切り下げをそれぞれ線でつないだトレンドラインの分析によりこのパターンを簡単に見つけることができます。レジスタンスラインをブレイクアウトした時点、またはレジスタンスラインより上で終値を付けた時が、相場へのエントリーのシグナルとなります。ストップロスは直近の安値の下に置くことができ、目標は上述の測定テクニックを使って設定するか、または以前のレジスタンスラインに設定します。ただしリスク・リワード比率をプラスに維持してください。

確認ポイント:出来高表示を見て、上昇する際の高い出来高(より大きな確信)を確認することができます。さらに、マーケットが安値を切り下げている時に、ストキャスティクスが安値を切り上げている(ダイバージェンス)ことを観察できます。これは反転の可能性を示唆しています。
留意点
- トレンドの見極めは必須です。
- 継続と反転のいずれのシナリオも本質的に強気です。
- 通常大きな動きの前触れとなるため、両方のパターンにおいて有利なリスク・リワード比率が提示されます。
下降ウェッジの利点と欠点
利点 | 欠点 |
---|---|
金融マーケットで頻繁に発生する。 | 初心者トレーダーにはわかりにくい場合がある。 |
下降ウェッジは、最初の動きを見逃したトレーダーもトレンド相場に参入することを可能にする(コンティニュエーションパターンの場合)。 | 他のテクニカル指標とオシレーターを使用して追加の確認をおこなう必要がある。 |
明確なストップ、エントリー、リミットの価格を提示する。 | 間違えて判断してしまうことが多い。 |
有利なリスク・リワード比率の機会を提供する。 | 下降ウェッジは反転または継続を示唆する場合がある(これを正しく見極める必要がある)。 |
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