センチメントデータにもとづくトレードは、初心者が見逃しがちなマーケットの隠れたトレンドを見つける上で役立ちます。DailyFXは、FX、コモディティ、暗号通貨、指数の各マーケットにおけるすべてのIG証券の本番口座でのトレードにもとづく顧客センチメントデータを提供し、逆張りシグナルとして機能させています。成功するセンチメントトレード戦略は、センチメントが強い方向性バイアスを示した時に、逆張りでのトレードを探ります。これは直感に反するようですが、十分な根拠にもとづくものであり、本稿で詳しく説明します。
IGクライアントセンチメントのレポートはこちらからご覧ください。
IGCSを使用するトレードのポイント:
- IGCSとは?
- クライアントセンチメントが逆張り指標なのはなぜですか?
- IGCSを使用したセンチメントトレード戦略の立て方
- センチメントを使用したトレードについてもっと学ぶ



IGCSとは?
IGクライアントセンチメント(IGCS)は、本番口座でポジションを保有するIG証券の個人投資家のデータを活用します。トレードを分析するトレーダーは、その時点で大多数のトレーダーがどこにポジションを持っているか、ロングなのかショートなのかを把握することができます。トレーダーは当社のインタラクティブツールインタラクティブツールを使用することでIGCSデータにアクセスすることができ、それによりマーケットとアセットクラスをフィルタリングすることができます。

IGCSは「群衆をフェードする(薄める、打ち消す)」、つまり個人投資家と反対の方向を示すものとみなされています。これは、IG証券の正確なリアルタイムデータ、とりわけ頻繁にトレードされるマーケットのデータを使用しており、あらゆるセンチメント分析を使用したトレード戦略で利用できます。
ただし、IGCSだけに頼ってトレードすべきではありません。センチメントをテクニカル分析と組み合わせ、常に口座のサイズに対して適切なポジションサイズでトレードしてください。
IGCS(センチメント分析)が投資で逆張り指標なのはなぜですか?
センチメント分析を使用したトレード戦略を実行する前に、顧客センチメントは逆張りシグナルとみなされている理由を理解することが大切です。
IGCSは、2つの主な理由から逆張り指標とみなされています。
1. 逆張り: IGCSデータの対象者である個人投資家の大半は、トレンド相場に逆らいます。残念なことに、これは論理というより人間の性質に近いもので、このパターンはなくならないでしょう。これらのトレーダーは強いトレンド相場において逆張りをすることにより市場の天井や底で仕掛けようと試みます。これは完全に「トレンドはあなたの友達」の基本概念に反します。
2. トレードを手仕舞う:マーケットが上昇トレンドにあり、センチメントが圧倒的にショートの場合、これらのショートトレーダーの全員がポジションを手仕舞う時に反対の動き、つまり決済するために買う必要があります。ストップまたはリミットに達した時または手動で決済する際に「買い」がともない、これは価格を上昇させるのです。ショートトレーダーがロングトレーダーより大幅に多い時、ショートトレーダーは最終的にそのポジションを手仕舞いするために買わなくてはならず、そこで買いのモメンタムが生じます。それはショートトレーダーではなくロングトレーダーに利することになります。



IGCS(センチメント分析)を使用した投資戦略の立て方
ここでは、センチメント分析を使用したトレード戦略にIGCSを組み込む方法について詳述します。以下のステップごとに開設します。
- IGCSを使用してマーケットとトレードの方向を定める
- マーケットはレンジ相場かトレンド相場かを確認
- ネットロング/ショートポジションを価格チャートに重ねて全体像を見る
1) IGCSを使用してマーケットとトレードの方向を定める
トレーダーは分析プロセスの最初の段階からセンチメントを見ることもできますし、徹底したテクニカル分析やファンダメンタルズ分析をおこなってからトレードの確認のために見ることもできます。
ただ、最初からクライアントセンチメントを使用すると、他の分析をおこなわなくてもトレードすべきマーケットとその方向について情報が得られるため、非常に便利です。その後トレーダーはテクニカル分析を使用してそのマーケットに理想的なエントリーおよびエクジットポイントを見つけることができます。
マーケットとトレンドのセットアップ: 極端なポジションを示しているマーケットを探します。強力な上昇(下降)トレンド相場で極端なネットショート(ネットロング)のクライアントポジションを持つマーケットは、強気(弱気)のシグナルを示します。
IGCSを使用して明確な方向性バイアスを確認
IGCSのサマリーテーブルは、選択したマーケットでロングポジションを保有しているトレーダーの数を、同じマーケットでショートポジションを保有しているトレーダーの数に対比させて表示します。
センチメントを分析する際、トレーダーは極端な水準(大きくショートまたは大きくロング)に引き付けられます。このような場合にツールがより明確なシグナルを提供するためです。下の図に示すように、NZD/USDで78%と極端な数字が出ています。数字は青(ロングを意味する)で示され、水平線はセンチメントがロングに傾いていることを表しています。

赤の値は通貨ペアのネットショートポジションを示し、青の値はトレーダーがそのペアをネットロングしていることを示します。センチメントの程度を表示するもう一つの方法はロング対ショートの率を見ることです。2以上の値は、66.6%以上のトレーダーがネットショート/ネットロングであることを意味するため、個人投資家の間の有意なバイアスを示していると考えられています。
そのため78%のトレーダーがNZD/USDをネットロングしているということは、ショートポジションを保有する1トレーダーあたり、ロングポジションを保有する3.54人のトレーダーがいることを意味し、この通貨ペアのポジションのかなりの不均衡を示しています。
IGCSが生成する一般的なトレードシグナル
トレンドの方向 | ネットロングのネットショートに対する割合 | シグナル |
---|---|---|
上昇トレンド | -2 | ロング |
下降トレンド | +2 | ショート |
上昇トレンド | +2 | 中立 |
下降トレンド | -2 | 中立 |
この段階で、どのマーケットでどの方向でトレードするかは決まりますが、他にも検討すべき要素があり、本稿の残りの部分ではそれらについて説明します。
2) 市場はレンジ相場かトレンド相場か
トレンド相場: 儲かるトレードを探すのが人の本性であるため、個人投資家は「反発を探し」、上昇相場で売り、下降相場で買うことが多くなります。
レンジ相場: 確立しているレンジ相場、できればボラティリティの低い相場では、高値で売り、安値で買うことが理にかなっています。
NZD/USDの例に戻ると、ほとんどのトレーダーがNZD/USDをロングしていると認識したトレーダーは、ここがロングでトレードをすべき場所であると考える可能性があります。しかしこれは真実からは程遠いと言えるでしょう。
下のNZD/USDチャートを見ると、個人投資家は引き続き大きく買い越しているものの、全体的な下降傾向は明らかです。これは直観に反しているかも知れませんが、個人投資家はトレンドに逆らう傾向があるという見方を確認するものです。




彼らにとっては損ですが、個人投資家は、レンジ相場でトレードをするよりも強いトレンド相場で反転を掴むことを好みます。そのためセンチメントにもとづきトレードする場合、トレーダーは強いトレンド相場においてより信頼できる(逆張りの)シグナルを見つけようとします。
3) ネットロング/ショートポジションを価格チャートに重ねる
分析を容易にするため、DailyFXは主要市場についてIGCSを価格チャートに重ねた総合レポートを提供しています。すべてのレポートを見るにはセンチメントのページへ進み、「IGCSレポート」と書かれた緑のボタンをクリックしてください。

このレポートは各マーケットの価格チャートの上にセンチメントを重ねたチャートを生成します。同チャートはすべての関連するセンチメントの数字と強気、中立、弱気の地合いのいずれであるかも提示します。
もうひとつ、このレポートの便利な機能で見過ごされがちなものに、ロングポジションとショートポジションの推移があります。この機能は、最近のセンチメントの変化がかなり大きい場合に、全体のセンチメントと逆に動くトレーダーにとって特に便利です。このような大きな変化は、全体のセンチメントの反転および相場自体の反転を示唆している場合があります。

レポートを開き希望のマーケットまでスクロールします。チャートと最近のセンチメント総数のクイックサマリーが表示されます。
図の上部は値動き(緑と赤のローソク)を示し、青と赤のセンチメントラインはトレーダーがネットロングかネットショートかを示しています。センチメントの線と価格に大きな開きがある場合は、トレンドの方向でトレードするシグナルと考えることができます。

上の図では、価格は強い下降トレンドにあり、センチメントはショートトレーダー1人に対し3倍以上のロングトレーダーがいることを示しています。そのためこれは弱気シグナルとみなすことができます。
図の下の部分では一定期間におけるショートトレーダーとロングトレーダーの実数がそのまま示されています。ネットロングのトレーダーが増え続けているため、青線が赤線より長期にわたり上にあることは驚きに値しません。
IGCSは便利なツールですが、それは完璧な予測を提供するものではありません。IGCSを援用した場合もなお、トレーダーはトレードに強力なリスク管理を行うべきです。



センチメント分析を使用した投資についてもっと学ぶ
- IGCSはすべてのマーケットに適用できます。FXのセンチメント分析でFXへの適用方法について確認してください。
- クライアントセンチメントを分析するもう一つの方法は、ネットロング/ショートポジションの日次および週次の変化を見ることです。このような洞察に満ちた情報は、クライアントセンチメントページの右側にある当社のクライアントセンチメントトレードガイドで紹介されています。
- COTレポートをFXに使用する方法についても詳しく解説しています。
- IGクライアントセンチメントのレポートはこちらからご覧ください。