
COT(コミットメンツ・オブ・トレーダーズ)レポートは、通貨ペアのポジション保有状況に関する重要な情報を提供するセンチメントレポートで、毎週発行されます。米国商品先物取引委員会(CFTC)が発行するこのレポートは、トレードの基本となるFXの戦略に照らして参照することができます。
COTレポート分析に記載される金融市場はFXだけではなく、すべてのトレーダーにとって価値あるものとなっています。
FXのCOTレポート分析: 主なポイント
- コミットメンツ・オブ・トレーダーズ・レポートとは?
- COTレポートトレード戦略
- DailyFXのコミットメンツ・オブ・トレーダーズ分析の使用方法
- マーケットセンチメントを使用したトレードについてもっと学ぶ



COTレポート(コミットメンツ・オブ・トレーダーズ・レポート)とは?
米国商品先物取引委員会(CFTC)のCOTレポートは、幅広い市場の先物トレーダーのポジションに関するユニークな視点を提供し、これらの市場はよくFXの代理(プロキシ)として使用されます。毎週発行されるこのレポートでは、ロングポジションとショートポジションおよび全体の未決済建玉を3つの異なるトレーダーグループに分けて示します。FXにおいてトレーダーのポジションがどこにあるかを知ることは、トレードアイデアを構築する上で価値ある情報となり得ます。
CFTCは世界の大手先物トレーダーにそのポジションの報告を義務付けています。大きなポジションを維持するために彼らが払わなくてはならない証拠金からこれらのポジションは容易に追跡でき、CFTCはこれを1962年以来公表しています。
2000年以降、レポートは毎週金曜日の米国東部時間午後3時30分(日本時間土曜日午前5時30分)に発表されるようになりました。この情報は、先物市場の参加者を鑑みると、トレーダーにとって非常に価値のあるものとなります。参加者の中には、自社の指標から利益を得るためエントリーするヘッジファンドなどの機関投資家も含まれます。経済の健全性を代弁する世界最大級の企業は、自社製品の製造に使用する原材料の価格変動へのエクスポージャーをヘッジするために先物市場に参加します。これはトレーダーにその時点におけるマーケットのポジションを把握することを可能にします。
COTレポートに記載される3つのトレーダーグループは以下の通りです:
- 商業トレーダー – ほとんどが、それぞれの先物市場において商業上のヘッジに利益を持つ大手多国籍企業です。たとえば、大手日本メーカーは、USD/JPYの為替変動へのエクスポージャーをヘッジしようとします。
- 非商業トレーダー – このグループに含まれるのは、商品取引投資顧問などの大口投機筋および特定の先物市場に投機する大規模な機関投資家がほとんどです。たとえば、大手商品ファンドが、米ドルがユーロに対して上昇すると考える場合、ユーロのFX先物に投資します。
- 報告義務のないトレーダー – 報告義務のないトレーダーは、どちらのグループにも入らないトレーダーです。通常、小口投機筋とみられるこれらのトレーダーは重要性が低いとみなされ、COTレポート分析に影響を与えることはあまりありません。資金規模が小さいレバレッジプレーヤーで、大きな動きがあると振り落とされてしまうことがあります。
これらの一般的な定義を頭に入れた上で、COTレポートの使い方を見ていきましょう。下のグラフは、上記主要3グループのCOTレポートの一部を示しています。
EUR/USD COTレポート:

出所: CFTC
COTレポートを使ったFXのトレード戦略
はじめてCOTレポートを見たときは、USD、JPY、GBP、EURの先物ポジションが、EUR/USD、USD/JPY、EUR/GBPのトレードにどのように役立つかを理解することは難しいかもしれません。COTレポートについて学ぶべきことは数多くありますが、大口投機筋と大手商業筋との間に大きな乖離があることを知ることは役立つと思われます。



USD/JPY COTレポート:

USD/JPYチャートで非商業筋がUSD/JPYロングポジションを売っていることを確認:

出発点は、レポート自体に明確に書かれている「ネットポジション」と、主要市場の前週対比の方向性(上記で〇で囲んである箇所)についてしっかり理解することです。
具体的な数字は必ずしも重要ではなく、むしろ未決済建玉のパーセンテージの明確なサインが「非商業(投機)筋」が主要トレンドと反対方向に動いていることに着目します。さらに「非商業(投機)筋」のセンチメントの反転が認識されると、トレンドは弱まってきていることがチャート上で確認でき、トレーダーは大口投機筋と同じ方向にトレードすると思われます。
上のレポートからは、JPYのショートポジションを整理するファンドの数が前週と比べ劇的に増加していることが分かります。大手ファンドのこの種のシフトが観察されると、トレーダーはこれまでのトレンドの勢いが衰えることを示す他のサインを探します。これは保有ポジションのエクジットの可能性を示唆します。上のチャートでは、2014年の初頭以来USD/JPYには4本の大陰線があり(赤でハイライト)、同時に非商業(投機)筋がUSD/JPYのロングポジションを減らしていることで、この下落傾向がまだ続くことに確証を与えています。さらに、チャートのテクニカル指標が裏付けをしており、RSIと100日移動平均線の両方が弱気の地合いを示しています。
DailyFX COT分析レポートを使用する
もう一つの優れたツールはDailyFXのコミットメンツ・オブ・トレーダーズ分析です。この週刊レポートは、CFTCレポートの分析をおこない、FX先物取引のポジションにおける相場の転換の概要を示しています。大きな動きの52週パーセンタイルが年間の強気/弱気の両極を示し、ストップまでを短くしたり、ファンドが売っていることを確認するプライスアクションを探したりするなどして、トレードの実行を支援します。
まとめ: 「非商業筋」トレーダーのポジションをチャートで検証し、「非商業筋」トレーダーの多く(10%以上)がその方向を転換していることを確認します。そして、マーケットセンチメントの理解を深め、「報告義務のないトレーダー」、つまり小口トレーダーのサンプルグループが店頭FXでどのようなポジションを取っているかを1日2回更新されるIGクライアントセンチメントで確認します。


