NY金価格は0.5%弱下落。米ドル高の進展が重荷。最近のゴールドの動向に、ビットコインが影響を与えている可能性。金価格の今後の見通しとは。
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【金価格のターゲット】
上値①:2,336ドル
上値②:2,353ドル
上値③:2,400ドル
下値①:2,300ドル
下値②:2,277ドル
金、ドル高が重荷
NY金スポット価格(ドル建)は、0.5%弱下落した。米ドル高の進展が、金価格を押し下げた。
NY金スポット価格は、米ドル建てで決定されていることから、ドルが上昇すると、金を購入できる量が減るため、ドル上昇時には金価格が下落する傾向がある。
また、イスラエルは停戦案を拒否しているものの、イスラエルとハマスの戦況が緩和するとの期待感も、安全資産としての金の需要を押し下げた。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
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ビットコインの圧力
NY金価格は、2,300ドルを一時下回ったものの、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測の高まりなどを受け、2,300ドル台を早期に回復した。
その後、金価格の値動きが小さくなっており、背景にはビットコインの動きが関係している可能性がある。ビットコインと金は、デジタルゴールド、およびリアルゴールドとも言われ、類似した性質を兼ね備えている。埋蔵量(発行量)が有限であること、特定の国・通貨に紐づいていないことなどの性質である。
類似した性質を持つことから、近年ビットコインと金価格の連動性が高まっている。年初からのパフォーマンスを確認すると、ビットコインが現物ETFの承認などを背景に上昇した後、出遅れを取り戻すべく、金価格が遅れて上昇した。足元、ビットコイン価格が調整しており、遅れて金価格も調整色が強くなっている。
金とビットコインは、それぞれ固有の材料で動くことがある。しかしながら、ビットコイン価格の調整が一服しない限り、金価格の上値を抑える可能性があり注目である。
資料:TradingEconomicsよりDailyFXが作成。米ドル建。起点を100として指数化。ビットコインは左軸、金は右軸。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -14% | 12% | -2% |
週次 | -8% | 13% | 2% |
NY金価格の見通し
NY金価格(スポット、ドル建)は、フィボナッチリトレースメント38.2%水準2,336ドルがレジスタンスとなっている一方、2,300ドルでサポートされており、値動きが小さくなっている。
さえない雇用統計などを背景に、FRBの利下げ観測が高まっていることは金価格のサポート材料である一方、ビットコイン価格の動向はマイナス材料である。くわえて、テクニカル面で、明確なシグナルがない中、金価格が上下双方に動く展開を想定したい。
金価格が上昇した局面では、レジスタンスになっている2,336ドルを上方ブレイクできるかに注目。ブレイクに成功した場合、金価格は、4月26日高値2,353ドルへの上昇が視野に入る。この水準を上方ブレイクすると、金価格の上昇圧力が強まり、次の上値として、心理的節目である2,400ドルをトライしよう。
金価格が下落した局面では、2,300ドルでサポートされるかに注目。サポートされなかった場合、金価格の下落圧力が強まり、5月3日安値2,277ドルへ下落する可能性がある。
【金価格のターゲット】
上値①:2,336ドル
上値②:2,353ドル
上値③:2,400ドル
下値①:2,300ドル
下値②:2,277ドル
NY金スポット価格(ドル建)日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著