※2024年2月8日17時02分更新
全般的にドル高が進む中、円相場は日銀の政策引き締め観測が下支えとなり、他の通貨よりも安定している。
- 円相場見通し - トーキングポイント
- ドル/円は6日の始値付近で推移している
- 市場は春闘に注目、賃上げ交渉の行方とは
- 中期的なレンジは維持されており、ブレイクアウトが方向性を示唆する可能性が高い
7日の欧州外国為替市場で円相場は対ドルで、前日からいくらか反発したが、ほぼ終始にわたって始値付近で推移した。
ドル/円は、先週の驚くほど強い米雇用統計をきっかけに米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げは見送られるとの見方が強まったことを受け、多くの通貨ペアと同様に押し上げられた。
しかし、日銀が今年中に大規模緩和政策から金融引き締めに動くのではとの期待が支えとなり、円相場はその中では健闘している。日本の金利は2007年以来、上昇していない。
日銀は、内需とインフレが政策修正できるほど持続的に拡大しているかどうかを見定めようとしている。見極めのポイントとなるのは賃金の伸びだが、その動向は依然として不透明だ。
厚生労働省が6日発表した2023年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1年間の働く人1人当たりの実質賃金は2年連続で減少した。ただ、月ベースで見ると、昨年12月の減少ペースは同年11月よりも緩和された。
日本は現在、春闘の最中で、賃上げ交渉が進んでいる。春闘の結果は日銀が今年どのような舵取りをするかを占う最大の材料となる可能性がある。日本の金利は今後上昇するという見方があるが、今後長い間、相対的には低利回りとなりそうだ。とはいえ、円相場は一定のサポートを享受し続けるだろう。
日本の投資家は地政学的なストレスがかかると、海外から投資資金を引き揚げる傾向があることも円を支える要因だ。悲しいことに、今現在はそのような地政学的リスクがある。これが、先週のドル上昇時にドル/円が、確立されている取引レンジを突破できなかったもう一つの理由だろう。
ドル/円は、8日に内閣府が発表する1月の景気ウォッチャー調査が次の注目材料となりそうだ。円相場が動く可能性はあるものの、様子見ムードは強く、短期的なトレード機会以上のものをもたらすことはなさそうだ。
ドル/円 テクニカル分析
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -14% | 1% | -3% |
週次 | -12% | -7% | -9% |
ドル/円はこの4日間、レンジの上限と下限を行き来し、昨年11月下旬の水準であるにもかかわらず、レンジの妥当性が維持されていることが確認された。少なくとも目先の方向性については、ブレイクアウトがカギとなりそうだ。レンジの上限は148.69のレジスタンスとなり、下限は146.60のサポートである。
サポートレベルは、昨年3月の安値から昨年11月の大幅高値までの長期的な上昇の最初のフィボナッチ・リトレースメントでもある。この水準を下回る時間が長いと、大幅な下落を促すことが予想される。次のリトレースメント・レベルは143.43で、これは1月上旬以来のサポート水準である。
--- DailyFX.com デイビッド・コトル著
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