ドル、米ドル指数、FRB政策見通し、パウエル議長、米CPI - APAC市場寄り付き
APAC市場まとめ - パウエル議長からは踏み込んだ発言なく、米CPIが焦点に
10日のニューヨーク外国為替市場でドルは小動き。トレーダーは、この日の取引時間中に行われたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演に注目していた。しかし、議長は金融政策や経済見通しについて踏み込んだ発言をすることはなかった。このため市場は、より差し迫った問題として引き続き、米消費者物価指数(CPI)に注目している。
年が明けてから、いくつかの経済指標が予想を下回り、市場はFRBの金利見通しを見直すことになった。下図を見ると、市場は来年末までにさらに2回の利下げ追加を織り込んでいる。その結果、ドルは全面安となり、株式市場では非常に慎重ではあるものの楽観的な見方も出ている。
さらに、12日(日本時間午後10時半)に発表される米CPIが予想を下回るとの見方が強まっている。12月の米CPI総合指数は前年同月比6.5%の上昇と、11月(同7.1%の上昇)から低下すると見られている。伸び鈍化を見込む声が多くなっているため、予想を上回る、あるいは一致する結果であっても、失望を招く可能性がある。
1月以降、市場は2024年末までに2回の利下げ実施を新たに織り込んでいる
資料:TradingView
1月11日のAPAC市場 - オーストラリアのCPI、豪ドル/米ドル
10日の米国株式市場で慎重ながら楽観的な見方が強まったため、11日のAPAC(アジア太平洋地域)の株価指数は上昇する可能性がある。しかし、意味ある株価の動きは米CPI発表まで待たなければならないかもしれない。その間、豪ドルはオーストラリアのインフレ指標に注目するだろう。11月の豪消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.2%の上昇と、10月(同6.9%上昇)を上回ると予想されている。予想通りとなれば、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が利上げに動くとの見方が強まり、豪ドル/米ドルの上昇につながる可能性がある。
ドル相場のテクニカル分析
日足チャートで見ると、米ドル指数は重要なサポートゾーンである103.39-103.93を下抜けた後、同時線のローソク足パターンを残している。同時線は、この先のトレンドが明確ではなく、どちらに行くべきか迷う投資家の優柔不断さを表している。一方、RSI(相対力指数)は強気なダイバージェンスが示現しており、下降の勢いが弱まっていることを示している。これは、価格が上昇に転じる可能性を示唆している。このため、現時点でドルの下落トレンドが再開したと考えるのは時期尚早と思われる。さらなる下降局面では、2022年5月の安値101.29が焦点となる。
米ドル指数 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
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