


※2023年6月27日13時58分更新
市場まとめ
週明け26日の米国株式相場は、買われ過ぎの状況が緩和しているうえ極端な強気心理の後退も続いており、前週末から下げ幅をさらに拡大した(ダウ工業株30種平均は0.04%安、S&P 500種株価指数は0.45%安、ナスダック総合指数は1.16%安)。米経済指標の発表が比較的少ない週明けは、アルファベットやテスラなどテクノロジー銘柄企業がアナリストにより相次ぎ格下げされたことをきっかけに、ハイテク株の売りが加速した。最近、大きく上昇していただけに、利益確定売りを誘ったようだ。市場参加者は、不動産セクター(2.2%高)とエネルギーセクター(1.7%高)の強さを背景に、バリュー株に資金を向けた。株式市場に対する投資家の心理状態を表すVIX指数も6%上昇し、警戒感の再燃によりヘッジの動きが活発化していることを示している。
明日28日は、欧州中央銀行(ECB)フォーラムでのラガルドECB総裁の発言が注目される。昨日発表のドイツのIFO景況感指数は予想を下回り(予想90.7に対し88.5)、2カ月連続の低下となった。これを受け、景気後退懸念が強まっているが、ラガルド総裁は金融政策にはタカ派的な姿勢を維持する可能性が高い。カナダのインフレ指標の発表も間近で、カナダ銀行(中央銀行)はさらなるインフレ対策に動くと予想されている。また、今夜(日本時間)発表される米国の耐久財受注と消費者信頼感指数も、ソフトランディングできるかどうかの手がかりになるとして注目されている。
銅相場は、過去1カ月で10%反発した後、8,600ドル/トンという強いレジスタンスに直面している。このレジスタンスは、以前機能したサポートから現在はレジスタンスに転換しており、日足チャート上の一目均衡表の雲上限とほぼ同水準にある。相対力指数(RSI)が重要な水準50近辺で推移する中、移動平均収束拡散手法(MACD)では弱気のクロスオーバーが示現しており、モメンタムに変化が生じていることを示している。今週は中国の購買担当者景気指数(PMI)が発表されるが、最近の中国の金融緩和策による効果には若干のタイムラグがあることから、6月のPMIはまた低調となる可能性がある。
銅
資料:IG証券
アジア市場寄り付き
27日のアジアの株式はまちまち。本稿執筆時点で日経平均株価は0.54%安、豪ASXは0.39%高、韓国総合株価指数(KOSPI)は0.34%安で推移している。中国株に関しては、米国株の下落にもかかわらず、26日のナスダック・ゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数は0.2%上昇した。日経平均は過去2カ月間に少なくとも4回、指数を支えた20日移動平均線を割り込んだ。日経平均は買われ過ぎの状態がゆっくりと緩和し続けている。さらなる下降局面では、6月初旬に押し目買いの動きが見られた31,500の水準で指数が反発するかどうかが注目される。
日経平均株価
資料:IG証券
一方、シンガポールの鉱工業生産は8カ月連続で減少し、悲観的な成長見通しを示した。鉱工業生産は前年同月比10.8%減と、予想(同7.4%減)を大きく下回り、国内の非石油産輸出品の落ち込みに追随した。製造業部門の45%を占める電子部品は前年同月比23%減と、引き続き成長の足を引っ張った。外需の影響を大きく受けやすいシンガポールでは、経済見通しの悪化と世界的なハイテク産業のダウンサイクルにより、低成長見通しが長期化すると思われる。
注目ポイント:重要なサポートの維持を試みるユーロ/英ポンド
先週、日足チャートで直近の下降ウェッジを上抜けしたユーロ/英ポンドは現在、重要なサポート水準0.857を維持しようとしている。サポートの維持を試みている状態は、26日にトンボ型の同時線が形成されたことで明らかになった。トンボ型は下値が堅いことを示す強気のシグナルである。とはいえ、RSI(相対力指数)は依然として50を下回る水準で推移しており、20日移動平均線が当面のレジスタンスとして立ちはだかっているため、さらなる確認が待たれる。英国のインフレ率がユーロ圏ほど急速に低下していないことから、欧州中央銀行(ECB)よりもイングランド銀行(BOE、中央銀行)の方がタカ派的であることが織り込まれていると推測でき、ユーロ/英ポンドにとっては、金融政策の違いが今後も重要な相場の原動力となりそうだ。きょう27日はクリスティーヌ・ラガルドECB総裁の講演が予定されており、総裁の発言が注目されている。今後数日間で0.857の水準を防衛できなければ、ある程度下落する可能性があり、0.840を再び試す展開が視野に入る。
ユーロ/英ポンド
資料:IG証券
6月26日:ダウ工業株30種平均は0.04%安、S&P 500種株価指数は0.45%安、ナスダック総合指数は1.16%安、ドイツ株価指数(DAX)は0.11%安、英FTSEは0.11%安で取引終了


