※2023年2月28日10時37分更新
ドル、米耐久財受注、ドル指数のゴールデンクロス - APAC市場寄り付き



APAC市場まとめ - 期待外れの米耐久財受注でドル下落
週明け27日のニューヨーク外国為替市場でドルは主要な通貨に対して幅広く軟調な展開となった。ドル指数は約 0.6%下落し、下落率は今月初め以来最大となった。しかし、この下げは、後ほど説明するが、ドルの短期的な上昇トレンドを覆すには至らなかった。
同日の取引時間中の値動きを詳しく見てみると、ドルが米耐久財受注の発表を受けて下落したことが分かる。1月の耐久財受注速報値は前月比4.5%減少と、市場予想(同4.0%減)より悪化し、昨年12月の5.1%増から一転、減少に転じた。この期待外れの内容は、最近、予想以上に上振れしていた米インフレ指標とは対照的だった。
その結果、米短期国債利回りは低下に転じた。これは、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策に対する市場予想がわずかにハト派に傾いたことを示している。米国債同様、S&P 500種株価指数が上昇するなど、米国株も1月米耐久財受注を受け、下支えされた。結果的に米国株は米耐久財受注を受けて上昇した分をすべて帳消しにしたが、それでも、S&P 500種指数はかろうじてプラス圏を維持し、終値は前週末比0.31%高だった。
このため、28日のAPAC(アジア太平洋地域)市場が引き継ぐ市場ムードは方向感に欠けている。一方では、市場はリスク選好度のわずかな改善を好感し、日経平均などの株価指数の上昇を促す可能性がある。また一方で、世界経済に広く波及する可能性が高い米国の景気後退を懸念するトレーダーもいるだろう。
ドルのテクニカル分析
ドル指数は27日、下げに転じたものの、直近で20日単純移動平均線(SMA)が50日SMAを上回る強気のゴールデンクロスが示現している。これは、指数の目先の上昇を示唆している。当面のサポートは、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準104.11である。この水準を下回ると、移動平均線が意識され、下値が維持される可能性がある。一方、当面のレジスタンスは、38.2%の水準106.15と思われる。



ドル指数 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。