米CPIが予想を上回り、投資家のリスクセンチメントが悪化した。そのような中でも、WTI原油価格は上昇し、際立ったパフォーマンスを示した。テクニカル面でも注目すべき動きが見られる中、原油価格の今後の見通しとは。
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CPIショック、金融市場揺るがす
米国CPI（消費者物価）が公表され、住居費を中心に高止まりを示し、予想を上回る結果を示した。米国のインフレ圧力が根強いとの見方がひろがり、FRB（米連邦準備制度理事会）の利下げ観測が後退した。
金融市場では、2024年中に3.5回の利下げを織り込んでいる。FRBによる年内3回の利下げ見通しと、概ね整合的な水準まで利下げ織り込みが後退している。利下げ開始時期も6月まで後ずれした。
資料：BloombergよりDailyFXが作成。
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輝くWTI原油
FRBの利下げ観測後退を受け、投資家のリスクセンチメントが悪化し、リスク資産の性質を持つ商品価格の逆風となったほか、米国金利の上昇を受け、金などの金利が付かない資産にとっても価格の下押し圧力となった。
主要な商品の中では、ガソリンとWTI原油価格のみ上昇した。WTI原油は、2週間ぶりの高値まで上昇している。イスラエルがガザ地区ラファにて空爆を開始していることなど、中東情勢の緊迫化が原油価格を押し上げている。
また、石油輸出国機構（OPEC）が発表した月報にて、2024、25年の世界の原油需要見通しが据え置かれ、上ぶれの可能性を示したことも、原油需給が引き締まるとの思惑に繋がった。
資料：Trading ViewよりDailyFXが作成。
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格（1バレル）は、200日移動平均線を上方ブレイクし、上昇圧力が一段と強まっている。米CPIショックの中でも原油価格が上昇したことは、地合いが強いことを投資家に印象付けた。
金融市場による利下げ織り込みは、概ねFRBの利下げ見通しと整合的であり、利下げ観測の後退余地は縮小している。このような中、テクニカル面で強気シグナルが点灯しており、原油価格の一段高を見込む。WTI原油価格は、1月29日高値79.29ドルへの上昇が視野に入る。
一方、米国を含む各国がイスラエルとハマスの休戦に向けて動いており、中東情勢が緩和に向かう可能性がある。その場合、原油供給が安定するとの思惑から、価格の下押し圧力になろう。その場合、WTI原油価格が、フィボナッチリトレースメント61.8％水準76.28ドルでサポートされるかに注目。サポートされた場合、原油価格の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。
WTI原油価格日足チャート
資料：Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
