※2023年11月10日11時52分更新
世界経済見通しが悪化し、需要鈍化懸念が高まっているにもかかわらず、原油価格は回復の兆しを見せている。強気派は80ドルの大台を再び突破できるか?
原油価格見通し
- 供給過多と需要減が懸念されるなか、原油価格は反発
- サウジアラビアのエネルギー相は今週、さらなる減産または2024年までの減産延長の可能性について言及する予定
- IGクライアントセンチメントによると、トレーダーの79%は現在WTIをネットショートにしている
- プライスアクション(値動き)、チャートパターン、移動平均線についてもっと知りたい方は、DailyFXの学習コンテンツをご覧ください
原油先物相場は、7月24日以来の200日移動平均線割れとなっているが、9日のニューヨーク市場では反発している。これは、需要減退と在庫増が懸念されるなかでの大きな節目である。とはいえ、年末に向かうなか、金利は今後しばらくの間、高水準にとどまるとの見方も原油価格の重しになっている。
在庫の積み上がりと米在庫データの発表遅延
世界第2位の経済大国である中国が埋蔵量を補充するために記録的なペースで原油を購入している。中国当局が埋蔵水準に満足したとみられるまで、中国をめぐる不透明感は続くだろう。
とはいえ、現時点では、米国の景気減速の方がより大きな懸念材料となっている。このところ、米経済指標からは米景気鈍化の兆候が見られ、米連邦準備制度理事会(FRB)による引き締め効果が表れ始めているように思われる。報道によると、米石油協会(API)は米国の原油在庫は11月3日までの1週間で1,190万バレル増加したと発表したという。もしこの数字が正しければ、2月以来の大幅増加となる。米エネルギー情報局(EIA)は今週、最新の原油在庫状況を発表する予定だったが、その発表が延期されたため、市場関係者は困惑している。
今後の予定
来週は、石油輸出国機構(OPEC)とIEAの双方から世界の需給状況に関する最新情報が発表される。OPECはまた、月末に会合を開き、ベネズエラが増産に転じる可能性があるとして、2024年に向け生産量について協議する予定だ。
原油価格に重要な影響を与えるような経済指標の発表はあまりない。しかし、10日はミシガン大学消費者信頼感指数の発表と複数のFRB政策立案者の講演が予定されている。これによりドル相場が動き、原油価格に短期的に影響を与える可能性がある。
市場を動かすすべての経済指標の発表と経済イベントについては、DailyFXカレンダーをご覧ください。
テクニカル分析見通しとまとめ
テクニカル面では、米原油先物指標のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)はついに200日移動平均線を割り込み、息切れしているように見える。日足チャートを見ると、8日の安値は割り込まず、逆ハンマーが形成されそうに見える。これが実現しない場合、73.06付近が最初のサポートエリアとなり、下降が続く可能性がある。
注目すべき主要レベル
サポート水準
- 73.06
- 70.12
- 68.00
レジスタンス水準
- 76.95
- 78.11
- 80.00
WTI原油先物 日足チャート - 2023年11月9日
資料:TradingView
IGクライアントセンチメント
IGクライアントセンチメント(IGCS)指標によると、WTI原油先物を取引するトレーダーの87%が現在、ロングポジションを保有している。DailyFXのIGCSは通常、逆張り的な見方をしている点を考慮すると、WTI原油先物はさらに下落するのだろうか?
WTI/原油価格のセンチメントおよびロングとショートのポジションの変動について、さらに詳しくご覧になりたい方は、以下の無料ガイドをダウンロードしてください。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 0% | 0% | 0% |
週次 | -10% | 25% | -3% |
--- DailyFX.com ザイン・バウダ著
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