※2023年7月19日12時04分更新
ニュージーランドドル、NZドル/米ドル、CPI、NZ中銀 – APAC市場まとめ
- インフレ率が予想を上回り、ニュージーランドドルは大幅高
- トレーダーは、NZ中銀が今年追加利上げに動くと織り込みつつある
- トレンドラインから反発したNZドル/米ドルはさらに上昇するか?



19日早朝のアジア市場で、ニュージーランドのインフレ指標が予想外に強かったと伝わり、ニュージーランドドルは上昇した。ニュージーランドの2023年4-6月期(第2四半期)の消費者物価指数(CPI)は前年同期比6%上昇と、市場予想(5.9%)を上回った。四半期比でも1.1%上昇し、予想(0.9%)を上回った。いずれも前期(6.7%、1.2%)からは低下した。
これに呼応して、金融市場はニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)のタカ派的な姿勢を織り込み始めた。CPIが今朝発表される前、金融市場は年内の追加利上げの可能性をあまり見込んでいなかったが、現在、25ベーシスポイント引き上げて5.75%へ上昇するとの予想をほぼ織り込んでいる。CPI発表を受け、ニュージーランド国債利回りは上昇した。
先週、RBNZは予想通り政策金利を5.5%に据え置いた。政策担当者は、制限的な金融政策がインフレ率を目標に戻すと確信していると述べた。さらにRBNZ総裁は、住宅所有者はまだ引き締めサイクルの完全な影響を感じていないと強調した。ローン残高の平均住宅ローン金利は、昨年初めの3%から来年初めには6%に上昇すると見られている。
金融政策の効果が経済に波及するには時間がかかる。それが、中央銀行が苦労する理由でもある。仮にRBNZが再び利上げに踏み切ったとしても、市場は追加利上げの可能性を1回のみに抑えている。特に、次の米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定が7月26日までないことを考慮すると、短期的にニュージーランドドル/米ドルを支える可能性がある。米ドルが再び上昇する可能性があるのは、次の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開かれる時だろう。
CPI発表に対するNZドル/米ドルの反応
資料:TradingView
ニュージーランドドルのテクニカル分析
日足チャートで見ると、ニュージーランドドル/米ドルは今年初めから続くトレンドラインから反発した。このラインはレジスタンスとして維持され、短期的に上値を抑えていた。昨年10月を始点とする上昇トレンドラインは、長期的な上昇バイアスを維持している。今年初めからのトレンドラインから反発したことで、さらなる上げ幅拡大の可能性が開かれ、マイナーなフィボナッチ・リトレースメント14.6%の水準0.6388が意識されている。

NZドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。