NZドル、NZドル/米ドル、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相の辞任、米経済指標 - APAC市場寄り付き
- ジャシンダ・アーダーンNZ首相辞任に対するNZドル/米ドルの影響は限定的
- むしろ、リスク回避の動きで米ドルが上昇したことに反応し、NZドルは下落
- APAC市場でセンチメントが悪化すれば、NZドルは下落リスクにさらされる
NZドル、アーダーンNZ首相の退任表明には反応薄 - APAC市場まとめ
ニュージーランドドルは、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が2月7日までに辞任すると発表したと複数のメディアが報じた後、ほとんど変化しなかった。同首相はまた、総選挙は10月14日に実施すると明らかにした。これは、目先のニュージーランドドル/米ドルにとって政治を巡る不安要因となるかもしれないが、センチメントの動向に左右されやすいニュージーランドドルは引き続き、外的要因に注目しそうである。
18日のニューヨーク外国為替市場で、ニュージーランドドルは主要通貨に対してアンダーパフォームした。同日の米国株式市場でリスク選好度が顕著に低下した流れを引き継いだことが背景にある。この日は、ダウ工業株30種平均は前日比1.81%安、S&P 500種株価指数は同1.56%安、ナスダック100指数は同1.24%安でそれぞれ取引を終了した。これにより、株式市場に対する投資家の心理状態を数値化した恐怖指数「VIX指数」は、約5%上昇した。
この日の米国株安は、一連の米経済指標が期待外れだったことに起因する。昨年12月の小売売上高は前月比1.1%減と、コンセンサス(同0.9%減)を下回った。昨年12月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比6.2%上昇と、これも予想(同6.8%上昇)を下回った。引き続き、インフレ圧力の緩和を示す結果となり、米連邦準備制度理事会(FRB)に利上げ減速の余地を与えている。
2年物米国債利回りは4.09%まで低下し、2022年9月以来の低水準で取引を終えた。市場参加者は、FRBが今年利上げを実施するという予想から降り続けている。フェデラルファンド(FF)先物は現在、市場が今年の引き締めを32ベーシスポイントしか見込んでいないことを示している。これは、FRBが次回の金融政策決定会合でもう1回利上げすることを意味し、2回目の利上げ実施を見込む投資家は急速に減っている。
過去24時間の値動きを見ると、ハト派的な方向転換を期待するトレーダーよりも、景気減速の進行により今後さらに困難な状況になるのではと懸念するトレーダーの方が多いことが分かる。株価は下落し、トレーダーは債券買いに動いたため米国債利回りは低下し、リスク動向に連動しやすいニュージーランドドルは下落した。
このため、ニュージーランドドル/米ドルは、18日のAPAC(アジア太平洋地域)市場でさらに下降しやすい状況にある。米国株式市場で悲観的なムードが広がった流れを受け、日経平均株価、豪ASX 200指数、香港ハンセン指数などの株価指数には下押し圧力がかかりそうだ。このような状況下、資金の安全な逃避先と見られている米ドルは上昇する可能性がある。
ニュージーランドドルのテクニカル分析
日足チャートで見ると、ニュージーランドドル/米ドルは、流れ星のローソク足パターンが示現している。流れ星は、価格が0.6463-0.6576のレジスタンスゾーンに向け上昇していたが、突然反落したために発生したもので、上値を維持できない弱気の反転パターンと言われている。流れ星の示現は必ずしも下降に転じることを意味するものではないが、上値の重い展開が続けば、反転する可能性が出てくる。しかし、50日単純移動平均線(SMA)には注意が必要だ。サポートとして下値を維持し、反発のきっかけとなる可能性があるからだ。
ニュージーランドドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。