20日にFOMC、22日に日銀の金融政策決定会合を控える。植田日銀総裁の発言を受け、日本銀行の金融政策を巡る不透明感が高まっている。9月の日銀会合での政策修正の可能性は低いものの、日銀が政策修正を実施した場合の日本株への影響とは。また、日本株の今後の見通しとは



サマリー
- 日銀政策修正の可能性
- 政策修正の日本株への影響
- 日本株の見通し
日銀政策修正の可能性
日本銀行の金融政策決定会合が迫る中(22日結果公表)、日本銀行の金融政策を巡る不透明感が高まっている。植田日銀総裁が年内の政策修正の可能性に言及したことが背景である。
日銀の金融政策不透明感を受け、日本の長期金利(10年国債利回り)は0.7%台で高止まりし、日銀の政策修正観測がくすぶっているものの、日本株は底堅く推移している。背景には、銀行セクターを中心とした金融株が上昇していることがあげられる。
日本銀行による金融緩和、低金利政策により、長らく銀行を含む金融機関は収益悪化懸念から、株価が軟調に推移していた。しかしながら、日銀が金融政策を修正した場合、日本の長期金利などの国債利回りが上昇、金融機関の金利収入改善による収益改善期待から、金融セクターを中心に日本株が上昇する可能性がある。実際に、2022年12月や2023年7月に日銀がイールドカーブコントロール政策(YCC政策)を修正した際は、銀行株は上昇した。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。2022年11月末を100として指数化。
賃金の伸び悩みなどを背景に、今回の日銀会合では金融政策の維持を見込んでいるものの、近い将来に日銀が金融政策を修正した場合も、実体経済に大きな影響を与えるような大規模政策修正を実施することは見込みづらい。そのため、22年12月や23年7月にみられたように銀行などの金融株中心に株価が上昇し、日本株全体の上昇をけん引する可能性がある。



日本株(日経平均株価)見通し
日経平均株価(先物)は、8月1日高値33,470円の上方ブレイクをトライしている。RSIは、50超えを維持し、日経平均株価の強気モメンタムを維持している。テクニカル面では、日経平均株の強気シグナルが点灯している。
20日のFOMC、22日の日銀会合にて、FRBの利上げ終了、早期利下げ観測が台頭した場合や、日本銀行が当面金融緩和を維持するとの思惑が強まるかに注目。これらの見方が強まった場合、日経平均株価が33,470円のレジスタンスをブレイクすることを見込む。上方ブレイクした場合、日経平均株価の上昇圧力が一段と強まり、6月19日高値33,950円をトライしよう。
一方、日銀の早期政策修正やFRBの追加利上げ(もしくは高い政策金利を長期期間維持)との見方が一段と強まった場合、8月18日から9月15日にかけて日経平均株価の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準32,602円でサポートされるかに注目。サポートされた場合、日本株の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著