豪ドル、豪ドル/米ドル、S&P 500、米決算、センチメント - APAC市場寄り付き
- 米国株のボラティリティが落ち着き、豪ドルはS&P 500とともに上昇
- 米ナイキ、フェデックスの好決算と米CB消費者信頼感が相場を押し上げた要因
- ウェッジパターンが示現している豪ドル/米ドルとS&P 500には引き続き、下落リスクがある
APAC市場まとめ – 米ナイキ、フェデックスの決算、米CB消費者信頼感
リスクセンチメントに反応しやすいオーストラリアドルは21日、リスク選好度がやや改善したことを受け、主要通貨をアウトパフォームした。米国株式市場では、S&P 500種株価指数が前日比1.49%、ダウ工業株30種平均が1.6%、ナスダック100指数が1.54%、それぞれ上昇した。一方、市場の「恐怖指数」であるVIX指数は11月下旬以来の低水準となった。ボラティリティの低下は、クリスマス休暇に入る時期に発生する傾向にある。
市場に影響を与えたファンダメンタルズ要因がいくつかあった。まず、米スポーツ用品大手ナイキと米物流大手フェデックスが発表した2022年9-11月期決算だ。一株当たり利益などが市場予想を上回ったことが好感された。年末に向け、株式市場は流動性が低下する中、これから発表される米国企業の決算が予想を上回る内容になるのではとの期待感が広がったようだ。もちろん、期待外れの結果となれば、21日の好決算以上に敏感に反応し、株価が大きく下がる可能性も否めない。
一方、コンファレンス・ボード(CB)が21日発表した12 月の米消費者信頼感指数は予想を上回った。市場予想101.0に対し108.3と、4月以来の高水準となった。このように経済が依然として好調であることを示す経済指標は、米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派的な政策をより長く継続することにつながる可能性もあるため、必ずしも市場にとって「プラス材料」とは言えないことに留意する必要がある。
豪ドル テクニカル分析
テクニカル面では、豪ドルは、弱気のチャートパターンである上昇ウェッジを下方にブレイクしたことが確認されている。豪ドル/米ドルは、3月からのかつての下落トレンドライン付近にとどまっており、このラインは新たなサポートとして機能している。しかし上値では、200日単純移動平均線(SMA)が強力なレジスタンスとして構えていることを忘れてはならない。主要レジスタンスは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準0.6768である。中間点である0.6654を下回ると、弱気に傾く見方が増えるだろう。
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
12月22日のAPAC市場 - 市場センチメントに注目
22日のAPAC(アジア太平洋地域)市場では、目立った経済イベントがないため、市場のセンチメントに注目が集まりそうだ。このため、日経平均株価、豪ASX200、香港ハンセン指数などの株価指数は、米国株高の恩恵を受けるかもしれない。これは、豪ドルにとってもプラス材料になり得るだろう。
S&P 500テクニカル分析
S&P 500種指数は、弱気のチャートパターンである上昇ウェッジを下抜けした後、サポートを見つけたようだ。フィボナッチ・リトレースメント水準の中間点である3,841は、50日単純移動平均線とともに強力なサポートとして機能している。一方、上値では38.2%の水準(3,921)を突破すると、今年初めを始点とする下降トレンドラインに向けて上昇する可能性がある。下落局面では、61.8%の水準3,760が焦点となる。
S&P 500先物 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。