天井に一直線に向かう確実な上昇トレンドに乗るほど楽しいことはありません。しかし残念なことに、古い格言にある通り、「楽しいことには必ず終わりが来る」ものです。これはトレードにおいても真実で、だからこそ、いつ下降への動きが生まれるか、リスクをどのように管理するかについて理解する必要があります。本稿では、ハンギングマンの反転パターンとは何か、そしてどのようにトレードするかについて紹介します。



ローソク足パターン「ハンギングマン(首吊り線)」とは?
ハンギングマン(実にいい得て妙な名前ですが)は、それまでの上昇トレンドの上値水準で売り圧力が急速に高まった時に生じるローソク足フォーメーションです。これは通常、多くのマーケット参加者が相場は天井だと考え、その結果「弱気派」が「強気派」より優勢となった時に生じます。下のGBP/USDチャートでは、大量の売り圧力の結果、上昇トレンドの天井に現れた赤いローソクが明らかに観察できます。
GBP/USDハンギングマン(首吊り線)

ローソク足パターン「ハンギングマン(首吊り線)」の特徴
ハンギングマンのパターンは、小さな実体と、ほとんどまたはまったくない上影(上ヒゲ)と、実体の2倍以上の長さの下影(下ヒゲ)を特徴とします。
- 上昇トレンド:上昇トレンドの天井で形成された時のみ、ハンギングマンと特定することができます。
- 始値水準:ハンギングマンは緑のローソク(陽線)の場合も赤のローソク(陰線)の場合もありますが、陰線の方が相場の勢いの衰退が大きいとされます。
- 上影(上ヒゲ):短い上影は、ポンド価格の大幅な下落が生じる前に、現在の上昇トレンドを維持しようという動きがあったことを示しています。
- 長い下影:これはおそらくローソク足の観察としてもっとも本質を突くものの一つですが、かなりの急落があり、その後強気派が失地をいくらか回復し価格を始値近くまで押し上げたものの、期間全体では下げとなったことを示しています。
- 終値水準:このケースでは、終値の水準は始値の水準より低くなっており、そのためこれは陰線のハンギングマンであることが確認されます。
「ハンギングマン(首吊り線)」のトレードシグナルの判断方法
ハンギングマンは、長い影が大量の売りを示しているため、ショートでのトレード(相場の弱気のバイアス)を判断するために使用されます。ハンギングマンの正当性は、チャート上の次の動きによって明らかになることがよくあります。次のローソク足がさらに下げ、短期の上昇トレンドラインをブレイクアウトすると、長期の下降トレンドの継続とみなされます。もう一つのエントリー水準は、相場がハンギングマンの安値を割り込んでからトレードをエントリーすることです。
「ハンギングマン(首吊り線)」を使ったトレード手法
ハンギングマンのフォーメーションは、長期トレンドと関連付けて見ることが重要です。その最良の方法はマルチタイムフレーム分析をおこなうことです。最初に日足や週足などの長めの時間軸のチャートを使用してマーケットを観察し、長期におけるマーケットの方向性を観察します。その後、短期の時間軸のチャート(4時間足や2時間足)を使用してトレードの理想的なエントリーポイントを分析します。
ステップ1:長期トレンドを特定する
相場の向かう方向を把握するため、長い時間軸のチャート(日足チャートなど)を観察します。長期トレンドと反対の方向にはトレードをおこなわない方が良いでしょう。
ステップ2:理想的なエントリーポイントを見つける
短い時間軸(4時間足チャート)を使用して理想的なエントリーポイントを特定します。ハンギングマンのフォーメーションはショートでのトレードシグナルを提供します。
ステップ3:補強のための指標を利用する
RSIの数値を見て、相場が転換し下降基調にあることを確認していますか? 20日単純移動平均線は50日単純移動平均線とデッドクロスしましたか? ハンギングマンは短期の上昇トレンドの天井近くで現れましたか? 関連するフィボナッチリトレースメントのレベルは近くにありますか?
ステップ4:トレードをおこなう
ハンギングマンの安値付近でエントリーポイントを探します。相場の弱気観測が正しければ、それに続くプライスアクションは下げるはずで、ショートでのトレードをおこなうことができます。
ステップ5:リスク管理
自分のポジションサイズ戦略に沿ってトレードをおこなってください。リスクを取る覚悟がある口座残高の総額を常に考慮し、そこからはずれないようにします。DailyFXでは、すべてのオープントレードにおいてリスクを5%未満とすることを推奨しています。さらにハンギングマンの高値にストップを確実に置いてください。
ステップ6::ポジションをいつ精算するべき?
トレードをエントリーするときは、常にリスクリワードレシオを1:2以上にすることがベストです。得ようとする利益の半分のリスクを取るということです。つまりエントリー価格からテイクプロフィット(利益確定の決済指値)の価格までの値幅は、エントリーの価格からストップロスの価格までの値幅の倍とすることを意味します。このシンプルなテクニックにより、トレードの半分しか成功しなかった場合でも、口座残高はプラスとなります。



GBP/USD日足チャート(下降トレンド)

少しだけ短い時間軸へズームインした4時間足(下図)では、トレードの理想的なエントリーポイントを見つけることができます。
GBP/USD(4時間足)ハンギングマン

4時間足チャートでは、以前のサポートラインである1.40000がレジスタンスラインとして機能していることがわかります。ハンギングマンは短期の上昇トレンドの天井近く、新しいレジスタンスラインの下で現れています。この時点で、相場の下方への反転に注意します。最終的に価格はハンギングマンの安値を割り込み、ショートでのエントリーのシグナルを出します。相場が不利に動いた時のリスク管理のため、ストップをレジスタンスラインへ置きます。
売りシグナルの確認
- 長期的な下落トレンド
- ハンギングマンは短期の上昇トレンドの天井近くで現れている
- ハンギングマンはサポート/レジスタンスラインの近くで現れている
- その後のローソクは下方へ動いている(高値切り下げと安値切り下げ)



ハンギングマン(首吊り線)に関してよくある質問(FAQ)
どのマーケットでハンギングマンは出現しやすいですか?
ハンギングマンはすべてのマーケットで出現しますが、FXは取引高も値動きも大きいため頻繁に出現します。FXは世界有数の流動性の高いマーケットで、一日の平均出来高は5兆ドルを超え、多くのトレーダーにとって魅力的なマーケットになっています。FXとは何か、気配値の読み方がわからない、といった場合はFX初心者向けガイドを参照してください。
有効なサポートラインとレジスタンスラインはどのように特定すればよいですか?
サポートラインとレジスタンスラインは相場がその範囲内でトレードされやすいレンジを示唆しています。過去に試されたが突破されなかった、または一時的に突破されたがその後すぐに反転した価格水準があります。これらの水準がどこにあるか、また、どうすれば正確に特定できるかを知ることが大切です。
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