※2023年12月22日14時56分更新
21日のニューヨーク外国為替市場でドル/円相場は、142.00の重要なサポートを試した。22日にこのレベルをブレイクできなかった場合、反発に向かう可能性がある。ただ、ドルは軟調な推移が続いてはいるが、引き続き日銀の動向を見極めたいムードがあり、日銀の政策修正が決まるまではドルの下値は限定的となりそうだ。
ドル/円:価格、チャート、分析
- ドル/円は140.00が視野に入る前に142.00割れをクリアする必要がある
- 米PCEは米GDPと同様、景気の減速を示し、ドル安につながるのか?
- IGクライアントセンチメントによると、トレーダーの64%がドル/円をネットショートにしている
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ドル/円のファンダメンタルズ要因
21日のニューヨーク外国為替市場でドル/円は下落した。7-9月期(第3四半期)の米国内総生産(GDP)確報値が年率換算で前期比4.9%増と、改定値の5.2%増から下方改定されたことも、ドルを押し下げた一因となった。ドル/円は142.00のサポートエリアを試しており、これを割り込むと、年末に向けてさらに下落する可能性が出てくる。ただ、筆者はドルの下値は限定的とみている。理由については後述する。
7-9月期の米GDP確報値が下方修正され、個人消費の落ち着きが示された。また、フィラデルフィア連銀製造業景況指数はマイナス10.5と予想(マイナス3)のマイナス幅を大きく上回り、景況感が悪化したことが明らかになった。明るい材料としては、新規失業保険申請件数が20万5,000件と予想の21万5,000件を下回り、雇用市場が引き続き堅調であることが示された。
資料:米国経済分析局
日銀は今週、現在の大規模緩和政策を維持する姿勢を改めて表明した。現状では、ドルは弱含みの展開となっているが、日銀による政策転換に関するより具体的な発言が出るまで、ドル/円の下値は限定的とみている。日本のインフレ率は今週も粘り強さをみせ、賃金上昇率がインフレ率を上回ると予測する日銀にとっては悩ましい動向だ。インフレと賃金上昇率の関係は、日銀が待望の金融政策の転換に踏み切るかを決める重要な要因となるだろう。
今後のリスクイベント
年末が近づくにつれ、経済指標の発表や経済イベントは少なくなってきているが、今夜(日本時間22:30)には利下げ期待に大きな影響を与える可能性のある米個人消費支出(PCE)の発表が控えている。11月の米PCEが大幅な低下となれば、利下げ観測はさらに高まり、ドル指数を押し下げるだろう。11月の米PCEコア価格指数は前年同月比3.3%上昇と予想されている。
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今後の値動き:ドル/円
ドル/円は、テクニカル面では心理的水準140.00が下方に控えるなか、142.00のサポートエリアの下抜けを試している。個人的には、特に日本のインフレ率が粘り強いことと、日銀の最近の発言を考慮すると、下値は限定的だと考えている。しかし、今夜発表の米PCEが下値を切り下げるきっかけとなる可能性は排除できない。
一方、上昇局面では144.00付近が最初の主要なレジスタンスとなり、その後は心理的水準145.00が意識されよう。
注目すべき主要なレベル
サポート水準
- 142.00
- 141.00
- 140.00
レジスタンス水準
- 144.00
- 145.00
- 146.50
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:ザイン・バウダ
IGクライアントセンチメント
IGクライアントセンチメント(IGCS)指標を見ると、ドル/円を取引するトレーダーの64%はネットショート(ドルを売り持ち)にしている。IGCSは逆張り指標として機能する傾向がある点を考慮すると、ドル/円は145.00に向かって再び上昇するかもしれない。
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変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 6% | 2% | 3% |
週次 | -2% | -9% | -7% |
--- DailyFX.com ザイン・バウダ著
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